全員 相続対策はお早めに
2017.02
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昨年12月15日、国税庁から【平成27年分の相続税の申告状況】が発表されました。相続が増税された以後、初めてのデータとなります。

【平成27年分の相続税の申告状況について】(※国税庁資料より)

平成27年中(平成27年1月1日~平成27年12月31日)に亡くなられた方から、相続や遺贈などにより財産を取得した方についての相続税の申告状況の概要は、次のとおりです。なお、平成27年1月1日以後の相続等については、平成25年度税制改正により、基礎控除額の引下げ等が行われています。

1.    被相続人数等
平成27年中に亡くなられた方(被相続人数)は約129万人(平成26年約127万人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約10万3千人(平成26年約5万6千人)で、課税割合は8.0%(平成26年4.4%となっており、平成26年より3.6ポイント増加しました。

2. 課税価格
課税価格の合計は14兆5,554億円(平成26年11兆4,766億円)で、被相続人1人当たりでは1億4,126万円(平成26年2億407万円)となっています。

3. 税額
税額の合計は1兆8,116億円(平成26年1兆3,908億円)で、被相続人1人当たりでは1,758万円(平成26年2,473万円)となっています。

4. 相続財産の金額の構成比
相続財産の金額の構成比は、土地38.0%(平成26年41.5%)、現金・預貯金等30.7%(平成26年26.6%)、有価証券14.9%(平成26年15.3%)の順となっています。


それでは、検証していきましょう。

●課税割合について
前年の4.4%より倍増するのではないかと保険会社等は予測をしていましたが、8%と近い数値となっています。基礎控除額が減ったので、当然課税される割合は高くなりました。相続税を身近になってほしくはないのですが、身近に感じられる方も多くなったということです。私の知人で絶対に相続税など関係ないと言っていた方が、平成27年に相続が発生して申告しました。生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が1保険会社(共済)だと思い込んでいたらしく、申告していなかったために税務署に入られました。追徴税を支払ったと聞きました。

●課税価格について
前年に比べ課税価格は約3兆788億円増えていますが、被相続人ひとりあたりの課税価格は6,281万円減っています。課税される価格が少なくても課税される方が増えたからです。

●税額について
基礎控除の引き下げの目的は、当然相続税徴収が目的ではありますが、前年に比べ4,208億円増えており、被相続人ひとりあたりでは715万円減っています。相続税がかかる対象の人は増えたけれども、裾野が広がった分、ひとりあたりの平均は下がっています。

●相続財産の金額の構成比について
ここに注目すると、土地が減り、現金・預貯金が増え、有価証券は若干減っています。土地の価格が下がったのか、土地を売って現金化したのか、詳細は不明ですが、現金・預貯金の比率が上がったのは、タンス預金が大きく貢献しているのでしょうか。いまだに金庫が売れているのは、相続税の増税が原因だけではありませんが、生涯かけて働いたお金を、先の私の知人のように税の仕組みや節税方法を知らずに課税されてしまうことだけは避けたいですね。
課税される人数が多くなっているのは、このデータで一目瞭然です。合法的な節税や子や孫への資産の移転は、とても重要な検討材料になります。
相続対策は早ければ早いほどそれに越したことはありません。暦年贈与して相続財産を子や孫に移転していく場合では、相続が近くなって開始しても効果は得られません。相続開始前3年以内の贈与は相続財産に持ち戻されるからです。長期的にじっくりと取り組んでいくことが重要です。手っ取り早い保険商品を活用する方法もあれば、不動産投資を活用する方法など、資産の子や孫への合法的な移転方法は結構あります。知人の税理士曰く、平成27年の相続税増税後、税務署が結構な確率で入っていると聞いています。相続税をとれるところが前年の倍近くになっているからです。正しい申告はもちろんですが、自分には関係ないと思っていた相続税が、他人事ではなくなってきていることを踏まえ、相続対策はお早めにと言いたいところです。
田中 美子(たなか よしこ )

AFP ファイナンシャル・プランナー
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
TLC(トータルライフコンサルタント)副称号:生命保険協会認定FP
損害保険上級資格
DCプランナー2級
キャリアコンサルタント
公開日: 2017年02月16日 10:00