全員 はじめて学ぶ:ふるさと納税
2017.01
26

ふるさと納税は、ご自身が応援したいと思う自治体(=心のふるさと )に対して寄附ができる制度で、寄附先や寄附金額はもちろん、寄附金の使い道まで指定できる点が特長です。もともとは、税金の課税主体を国から地方に移すことや、故郷を離れた方が生まれ育った自治体に貢献できるように設計されましたが、寄附金額に応じて税金が安くなる点や、自治体から返礼品 がもらえるというオマケが注目され、利用者が増えています。ふるさと納税の大まかな利用手順は次の通りです。

①寄附をする自治体の選定
②寄附金額の決定
③寄附の申し込みと寄附金の納付
④返礼品と寄附金受領証明書の受け取り
⑤確定申告

①寄附をする自治体の選定
寄附金の使途や返礼品の内容からどこの自治体に寄附するかを決めます。こうした情報は各自治体のホームページ等でも確認できますが、全国の自治体情報をまとめたポータルサイト を利用するのが便利です。例えば、「ふるさとチョイス」では、お礼の品、使い道、地域などの目的別に自治体を検索できます。なお、返礼品の申し込み時期や発送時期を限定している自治体もありますので、寄附の前に詳細をよく確認しましょう。

②寄附金額の決定
ふるさと納税では、寄附した金額のうち2,000円を超えた額が、原則税金から全額差し引かれます。10万円を寄附すれば9.8万円分の税金が安くなる計算です。さらに、受け取れる返礼品は2,000円分以上であることが多いためお得といわれます。
ただし、差し引かれる税金の額には上限があるため、寄附金額が大きすぎると自己負担が2,000円を超える場合があります。差し引かれる上限額は所得や家族構成によって異なるため、自己負担を最小限に抑えたい方は事前に計算ツール を利用したり、専門家に依頼したりして確認しましょう。

③寄附の申し込みと寄附金の納付
ふるさと納税を利用する場合は、事前に寄附先の自治体に対する申し込みが必要です 。申し込みは先述のポータルサイトからもでき、クレジットカード決済や銀行振込に対応している自治体ならネットショッピング感覚で納付まで行えます。ただし、中には現金書留や窓口での支払いに限定している自治体もあるため、納付方法は事前によく確認しましょう。

④返礼品と寄附金受領証明書の受け取り
寄附金納付後、数週間から数ヵ月で返礼品と「寄附金受領証明書」が送られてきます。この証明書は後述の確定申告に必要ですので大切に保管しましょう。

⑤確定申告
寄附した翌年の2月から3月にかけて確定申告を行うと、所得税や住民税が安くなります。その際に④で受け取った証明書が必要ですので忘れずに提出します。
なお、2015年4月から「ワンストップ特例」という制度が始まり、一部の方 を除き確定申告が不要になりました 。ただし、医療費控除や住宅ローン減税を利用する場合はそもそも確定申告が必要ですので、合わせてふるさと納税の申告も必要となります。

ふるさと納税の本質
ふるさと納税の本質は寄附によって自治体の税収を増やし、そこに暮らす方々の生活を豊かにできる点です。一方で、メディアや書籍では「オマケ」の部分ばかりが注目され、損得勘定だけで自治体に寄附をする方も多くいます。本来、自分の暮らす自治体に収めるはずだった税金を他の自治体に送るということは、その分自分たちの自治体の税収が減り、生活インフラや住民サービスの質を下げることになります。「今日、おいしいお肉を受け取り喜ぶ一方で、明日から自宅前の道路が傷んでいく制度」といえばイメージが伝わるでしょうか。

狭い視野で物事を見ていると、「いくら税金が安くなるのか」「一番お得な返礼品は何か」という一時の損得で考えてしまいがちですが、「自分にとっての心のふるさととなり得る自治体かどうか 」という視点から制度の本質を見極めれば、ふるさと納税をさらに有効活用できるでしょう。
滝沢 翔吾(たきざわ しょうご)

AFP ファイナンシャル・プランナー
生活経済研究所長野 研究員
公開日: 2017年01月26日 10:00