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保険の入り口には注意が必要

現在、生命保険や損害保険の加入の仕方には、様々なチャネルがあります。大きく分けて
①対面(保険会社の営業社員、もしくは代理店から募集人を介して加入)
②通販、インターネット(テレビCMを見て電話、インターネット経由で加入)

皆さんはどちらで加入していますか?①対面の場合の多くは、保険会社の営業社員や代理店に勧められて加入したとか、あるいは勤務する会社の関連会社又は取引先企業が保険代理店をしているため加入した、また最近では来店型保険ショップがスーパーなどに出店しているため、お買い物の際に相談して加入したなどです。②通販、インターネットでは、テレビを見て保険会社のフリーダイヤルに電話して書類を送ってもらって加入、またはインターネットの広告か何かを見たり、雑誌などであらかじめ情報を入手して、保険会社のサイトにいってインターネット経由で加入したなどです。その場合募集人を介さず加入するため、生命保険の場合は商品内容に制限があったり(例えば保険金や給付金の上限がある)、損害保険では補償内容を自由に選べずパッケージ化されていたりした保険が多いのですが、募集人を介さないため保険料が割安(募集人に保険会社が手数料を支払わなくていいから)で加入できます。

さて、どちらの加入の仕方が望ましいか?それには、答えはありません。加入者が判断し決める事だからです。保険の仕組みや保障(補償)内容が理解できなくて、誰かに相談しながら決めたい、アドバイスを受けたいという方は①の方がいいでしょうし、知識のある方でご自身のライフプランについてしっかりとした考えを持ち、募集人に説明をしてもらわなくても保障(補償)内容の理解が出来て、自分で適切な保険選びができる方は②の方がいいでしょう。また商品によって①②を組み合わせる方がいい場合もあります。

なぜ今日こんな話をしたかというと、先55歳の女性が3枚の生命保険証券を持って、相談に来られました。月々約40,000円の保険料を支払っており、子供も自立したので死亡保険金を減らして、保険料を下げたいというご希望でした。離婚をされて女手ひとつでお嬢様を育て、高校を卒業して県外で警察官になり、たまたまお嬢様が帰省をされた時に保険の話になり、「もう大丈夫だからそんなに高い保険料を支払ってまで保険金はいらないよ。」と言われたそうです。

お母様に加入した経緯、保障の内容を把握しているか、今後どのようなこと(リスク)が不安に思われているか聞いてみました。加入の経緯は、知人から保険会社の営業社員さんを紹介してもらって加入し、保障の内容は世帯主並みの保険金の死亡保障、入院保障、それとがんの保障もついていると思いますと言われました。更に1年前にクレジットカード会社から電話でがん保険を勧誘され、不安に思っていたので加入しましたと。

まず、現状の分析をして、ご本人が思っていた内容との食い違い、問題点、今後の不安材料をカバーしているのかどうか説明しました。死亡保障に関してはほぼ理解されている通りでしたが、がんの保障はメインの保険にも電話で募集されて加入した保険にもついていないことを説明し、唖然としていました。「どうしたらいいですか?」それから長いヒアリングが始まり、見直しのアドバイスをして納得していただきました。

生命保険は契約期間が長いです。転換などで途中で内容を変えていたりすると、訳がわからなくなって、保障内容を誤解しているケースが多いです。担当者が退職してアフターフォローが出来ていないせいもあります。幸いにも高い保険料の内訳は、貯蓄部分の多い保険でしたので、今の予定利率よりいいので良かったですねとお話しすると、少し安心された様子でした。電話で募集された保険は損害保険会社が扱っているクレジットカード会社の会員向け団体医療保険でした。募集した方も加入した方も双方に問題ありですね。このように、思っていた事と食い違っている保険は本当に多いのですが、保険の事が苦手で解らなかったら理解するまで加入してはいけません。そのためにも自分の保険に対する知識レベルを確認し相談できる方がいいのか、簡単な手続きで自分が納得して選ぶことができるかどうかで、入り口が変わってくることを痛感した事例でした。
田中 美子(たなか よしこ )

AFP ファイナンシャル・プランナー
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
TLC(トータルライフコンサルタント)副称号:生命保険協会認定FP
損害保険上級資格
DCプランナー2級
キャリアコンサルタント
公開日: 2017年01月19日 10:00