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就業不能保障の必要性はあるか?

就業不能保障をご存知でしょうか。病気やケガで働けなくなった場合に、毎月一定額の給付金を受け取れる保障です。万が一、働けない状態になったとしても、就業不能保障に加入していれば、働けないことによる「収入の減少」や医療費などによる「支出の増加」をカバーすることができます。

◆就業不能保障とは
一般的な就業不能保障は、加入時にご自身の収入に合わせて、月額10万円~50万円程度の給付金額を設定します。働けなくなってから一定の待機期間が経過すると給付される仕組みですが、待機期間は60日や180日など保障団体により異なります。
回復せずに働けない状態が続くと、保障期間満了まで給付が続きます。入院中だけでなく自宅療養中も給付の対象となります。もちろん働けるようになれば給付は終わりますが、再び働けない状態になると、待機期間を経た後に給付されるようになっています。
注意したいのは給付金の支払い要件です。就業不能の原因となる病気やケガ、非該当の病気や状態は保障団体ごとに違います。生きるための保障と言われ、取り扱う保障団体が増えているものの、まだまだ認知が低い分野です。加入前の確認は必須といえるでしょう。

◆まず公的保障を確認しよう
生命保障について、ファイナンシャルプランナーが考えるリスクには、(1)死亡リスクと(2)生存リスクがあります。就業不能は、入院したときや長生きや介護状態になったときと同様に(2)生存リスクに該当します。それぞれに公的制度がありますので、就業不能時の公的制度を整理しておきましょう。

まず、会社員(公務員・団体職員)が長期間働けなくなった場合、有給休暇を消化した後に、健康保険から傷病手当金として、収入のおよそ3分の2が最長1年6か月間給付されます。その後、障害認定を受けた場合は、障害年金の給付を受けることもできます。
元気で働いている時の生活水準を維持するための支出は、大きいものでは住宅ローンの支払いや子どもの教育費、医療費などがあります。このうち医療費については、保険適用で自己負担額は3割、医療費が大きくなった際に受けられる高額療養費制度は、一般的な所得水準(年収約370~770万円)の方の場合、自己負担上限額は約8万円です。


一方で、自営業の方はどうでしょうか。国民健康保険でも、医療費の自己負担限度額については差異がないものの、働けなくなった際の傷病手当金は受け取ることができません。就業不能時の備えは会社員以上に必要といえます。

◆必要性を考える
就業不能保障に限らず、保障加入を検討する際には、まず公的制度を考慮するのが鉄則です。同様に、貯蓄により賄える部分も考慮します。そのうえで死亡リスクと生存リスクについて、どの部分の保障が足りないのか、不安なのか、それを解決するにはどのような保障がいつまで必要なのかなど、年齢や家族構成、仕事の内容などを多角的に考えていきます。個々の価値観が大きく影響するのも重要な要素です。

就業不能保障は、今の生活水準を下げたくない方、貯蓄が少なくカバーできない方、傷病手当金のない自営業の方などにとって必要性が高いといえます。逆に、働けなくなったら今の生活水準を下方修正する覚悟がある方や、収入減をカバーするだけの貯蓄がある方、または頑張って貯蓄で準備するつもりの方などは、あまり魅力を感じないかもしれません。保障は、万が一の時に経済的に助けてくれるものです。その時の覚悟と経済的な準備ができている方は無駄な保険料を支払う必要はないでしょう。
田中 美子(たなか よしこ )
AFP ファイナンシャル・プランナー
2級ファイナンシャル・
プランニング技能士
TLC(トータルライフコンサルタント)副称号:生命保険協会認定FP
損害保険上級資格
DCプランナー2級
キャリアコンサルタント
公開日: 2018年11月29日 10:00