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お金を貯められる家計簿のつけ方
お金を貯められる人は、(1)今日の資産合計、(2)次の引落日・引落額、(3)今月の収支差額の3つの要素を即答できる傾向があります。それぞれの詳細を見ていきましょう。
(1)今日の資産合計
例えば、今朝の全ての金融資産の口座残高を合計すると802万円だったとしましょう。そのことを把握している人は、資産800万円台をキープしたいという気持ちが働き、自然と今日の支出を2万円以内に抑えるため、把握できていない人に比べて支出がセーブされやすい傾向があります。
(2)次の引落日・引落額
クレジットカード、携帯電話料金等の引落日・引落額を把握している人は、資金繰りが上手になります。引落日・引落額を把握していなければ、残高不足で延滞になってしまったり、支払日直前に不足に気づいてキャッシング等で工面したりするため、不要な延滞利息や手数料を支払う事になります。結果として無駄な支出が増え、お金が貯まらない悪循環に陥ります。
(3)今月の収支差額
今月の収支差額が+2万円だったとします。プラスならいいかと思いがちですが、毎月2万円を30年間貯めても720万円にしかなりません。これでは、子どもの進学が全て国公立だったとしても、1人分の学費にしかならず、十分な資金を貯められないことに気づきます。このように、今月の収支差額を把握することで、退職までにいくら貯められるのかを逆算でき、貯金の大切さを具体的な金額とともに実感できるようになります。
この3つを意識しながら、実際に家計簿をつける手順もみておきましょう。
手順1.資産残高推移表を作成する
複数の口座がある場合、すべての口座の残高を毎月、一覧表にまとめます。これにより、お金が貯められる人の3つの要素のうち(1)今日の資産合計と(3)今月の収支差額が把握できます。
手順2.気づいたことを書き出す
資産残高推移表を作るとそれだけで気づくことが数多く出てくるはずです。例えば「4口座だと思っていたら8口座あった」「毎月の支出にムラがある」など、どんな些細な事も、気付いた点は是非書き出してみてください。そうすることで、例えば「ムラの原因を追究するため支出の記録をつける」など、家計簿をつける目的を明確にできるからです。家計簿はただつけるのではなく、目的を達成するための手段だと思ってください。
手順3.収入と支出の記録をつける
記録をつけるとき、最初から完璧を目指さない事が大切です。まずは大雑把でも構わないのでつけ始めてから、足りない点を改善していけばいいのです。ちなみに、(2)引落日・引落額は、金額が判明した時点ですぐカレンダーに記入するようにしましょう。
また、家計簿の帳尻合わせにエネルギーを割かないことがコツです。財布の残高と家計簿の残高が合わないと、その原因を追究しがちですが、記憶に残っていない些細な事を思い出すことに時間を掛けるのは無意味です。そこで、財布の中身が少ない場合は「残高調整支出」、財布の中身が多い場合は「残高調整収入」と記録して終わりにします。
家計簿をつけ続けていると、この残高調整支出・収入がほぼ毎月発生することに気づいたりします。これらは使途不明金ですから、最初から給与天引きで貯めるようにしてみましょう。これにより家計の貯蓄力を明らかにできます。そんなことをしたら家計が苦しくなるのではと心配されるかもしれませんが、そもそも考えても使い道が思い出せなかったものです。初めから財布に入っていなかったと思えば、貯蓄に回しても生活は苦しくなりません。
あえて、帳尻を合わせず使途不明金とすることで、これまで意識していなかったお金の使い方が顕在化されるメリットがあります。
家計簿を機械的につけるのではなく、(1)~(3)を意識しつつ、手順1~3を実践することで、お金が貯められる体質をつくりましょう。
番場 裕美(ばんば ひろみ)
AFP ファイナンシャル・プランナー
生活経済研究所長野 研究員