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住宅ローンの返済が困難になったら
収入減少等により住宅ローンの返済が困難になった時は、手遅れになる前に、できるだけ早く金融機関に相談してください。金融機関によって対応は様々ですが、「返済期間の延長」や「支払い猶予」などの条件変更が受けられる可能性があります。
住宅金融支援機構のフラット35の場合、以下の条件変更メニューがあります。手数料はいずれも不要です。
(A)返済期間の延長
離職や病気などの理由で返済が困難になった場合、返済期間を延長し、返済額を減額できます。収入に対する要件があり、次のいずれかを満たす必要があります。
1. 年収が機構への年間総返済額の4倍以下であること
【参考】機構への年間総返済額が120万円の場合・・・年収480万円以下
2. 月収が世帯人員×6.4万円以下であること
【参考】4人家族の場合、月収が25.6万円以下
3. 民間ローンも含めた住宅ローンの年間総返済額に対する年収の割合(返済負担率)が一定割合を超えていること。かつ前年の収入が前々年より20%以上減少していること
【参考】返済負担率 □年収300万円未満は30% □年収300~400万円は35%
□年収400~700万円は40% □年収700万円以上は45%
もちろん、条件変更により今後の返済が継続できると見込まれる場合に限られます。延長期間は最長15年。失業中または収入が20%以上減少した場合は、さらに元金の支払いを一時休止し、利息のみ支払う期間(最長3年)を設定できます。利息のみを支払う期間中は金利を引き下げられる場合もあります。
返済期間の延長には注意点もあります。確かに毎月返済額は減少しますが「総返済額はむしろ増加する」点です。ですから、景気が回復し年収が増加した場合は「繰り上げ返済」や「返済額の増額変更」などにより期間を短縮するなどの対応策が求められます。
(B)一定期間のみ返済額を減額
お子様の進学による教育費、入院による医療費など、一定期間支出の増加が見込まれる場合、その期間の返済額を減額する方法です。例えば、お子様の進学期間中に限り、月7万円の返済額を月5万円に減額します。ただし減額期間が終了すると、減額期間前より月返済額は増加するので注意が必要です。
(C)ボーナス返済の変更
賞与額が減少し、ボーナス返済月の返済が困難になった場合、毎月返済額とボーナス返済額の内訳を変更したり、ボーナス返済を取りやめたりできます。例えば「月返済額6万円、ボーナス返済月13万円」という返済額を、「月返済額7万円のみ」に変更します。あくまで年間返済額は変わりませんので、ボーナス返済分を毎月の返済額に上乗せして返済できる方に限られます。
これら(A)(B)(C)の方法は組み合わせて適用を受けられます。
(A)返済期間の延長 + (C)ボーナス返済の停止
(A)返済期間の延長 + (B)一定期間のみ返済額の減少
いずれにせよ「総返済額が減少する」わけではありませんし、特に「(A)返済期間の延長」は総返済額の増加につながりますので、デメリットをしっかり認識したうえで条件変更を検討されるとよいでしょう。
上記の条件変更に該当しない場合でも、住宅ローンの借り換えによって返済額を減少する方法があります。借り換えの場合は総返済額も減少するのでメリットが非常に大きいといえます。
例えば借入残高2,000万円、返済残期間20年、元利均等返済、金利2.59%で返済中のフラット35を、金利1.23%でフラット35に借り換えると、月返済額が106,859円から94,054円(差額-12,814円)に減少します。総支払額も約327万円の減少となりますので、大きな節約効果があります(注)。金利差が1%以上ある場合、借り換えでメリットが出る可能性がありますので、収入減少にかかわらず検討する価値が高いといえます。
(注)金利2.59%は2010年4月のフラット35の業界最低水準金利。ただし(旧)団体信用生命保険に加入する場合は、別途特約保険料が発生する。金利1.23%は2010年4月の業界最低金利で返済期間15~20年の場合で、新団体信用生命保険(一般団信)に加入した場合。住宅金融支援機構のローンシミュレーション(借り換え)を使って試算、借り換え時の融資手数料は2%+消費税の定率型とした。なお借り換え時に融資手数料の他に、印紙代や登記費用などで15~20万円程度の諸費用がかかる。
【参考】住宅金融支援機構のローンシミュレーション
https://www.flat35.com/simulation/sim1.html
中山 浩明(なかやま ひろあき)
CFPファイナンシャル・プランナー
生活経済研究所長野® 研究員