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新型コロナ感染症「社会保険の支援制度」
1.個人への支援
(1)感染した場合の医療費等は自己負担なし
新型コロナウイルス感染症は指定感染症に指定されたため、PCR 検査や入院費用は公費で賄われます。自己負担はありません。感染症指定医療機関以外の病床(指定されたホテルなど)に入院した場合も同様の扱いです。
(2)傷病手当金が、国保加入者にも支給される
被用者保険(協会けんぽ、健康保険)の制度である「傷病手当金」が、今回、特別措置として、国民健康保険等(市町村国民健康保険、後期高齢者医療制度、国民健康保険組合)に加入している被用者(雇用されている人)についても支給されます。
■対象者 :国民健康保険等の加入者である被用者
■対象期間:2020年1月1日~9月30日
ただし、新型コロナウイルスに感染または感染の疑いがあり、その療養の
ために働けなかった期間(一定の要件を満たした場合)入院が継続する場合等は、最長1年6ヶ月まで支給
ただし傷病手当金は、労災保険の休業(補償)給付が支給される場合や、一定額以上の給与等が支払われる場合には、支給されません。
(3)労災に認定されれば、労災保険からの給付あり
労働者が業務に起因して感染したと認められる場合には、労災保険給付の対象になります。その療養のために働けなかった期間の「休業(補償)給付」のほか、新型コロナウイルス感染症により亡くなった場合の「遺族(補償)給付」、障害が残った場合の「障害(補償)給付」などが支給されます。
(4)収入減なら、社会保険料の減免・納付猶予あり
新型コロナウイルス感染症の影響により、収入が著しく減った場合には、国民年金や国民健康保険、公的介護保険などの保険料(税)について減免や納付猶予が受けられます。任意継続により健康保険に加入しているときの保険料も、納付猶予が受けられる場合があります。
2.事業者への支援
(1)雇用調整助成金 ~雇用継続を支援する給付金~
雇用保険に加入している事業主が、売上の減少などで事業継続が難しくなったときに、休業手当に要した費用を助成する制度です。新型コロナウイルス感染症に関する特例措置で対象が広がり、助成割合も高くなっています。
《特例措置の内容》
■期間 : 2020年4月1日から6月30日
■対象となる事業主 : 新型コロナウイルス感染症の影響を受けるすべての事業主
■対象となる労働者 : すべての従業員(労働者)
(雇用保険加入6ヵ月未満・未加入の従業員も対象に含める)
■休業手当に対する助成率:
中小企業:原則2/3が4/5または9/10(一部10/10)へ
大企業:原則1/2が2/3または3/4 へ
(2)企業の社会保険料の納付猶予
厚生年金・労働保険の保険料は、申請により最大1年間の納付猶予が認められます。
(ア)猶予期間中の延滞金が免除され、(イ)財産の差押えや換価(売却)も猶予されます。
雇用調整助成金の対象となるが、勤務先の方針等により休業手当を受け取れない場合には、労働者が直接、現金を申請できる給付制度も検討されています。
支援制度の対象や内容、手続き方法は、日々更新されています。困っている人が少しでも多くの支援が受けられるよう、周囲のアドバイスやサポートも重要です。
山田 静江(やまだ しずえ)
CFP ファイナンシャル・プランナー
生活経済研究所長野® 研究員
日本FP協会埼玉支部 副支部長