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どの証券会社で口座を開くのがオトク?
楽天証券やSBI証券の口座は持っていますか?
2021年12月現在、証券会社で口座を開くなら、楽天証券とSBI証券は外せません。両社のサービス拡充合戦がすごいです。今回あらためて調べてみた結論として、この2社のいずれか、もしくは両方の口座を持っておくべきだと思いました。
いまから25年ほど前、私が山一証券に勤めていたころは、どこの証券会社で取引をしても、利用者にとって大きな違いはありませんでした。普通株式の売買委託手数料は証券取引所が一律に決めていましたし、投資信託などの手数料も証券会社による違いがほとんどなかったからです。
それが、1999年10月の売買委託手数料の完全自由化以降、手数料の引き下げ競争が始まり、「ネット証券」と呼ばれるインターネット専業の証券会社の登場によって、サービス競争に拍車がかかっていきました。当時、「金融ビッグバン」と呼ばれ、金融システムの抜本的な改革が行われたわけですが、この約20年間の変化は、予想されていたとおり大きなものだったといえるでしょう。
とはいえ、私たち金融サービスの利用者にとっては、手数料が安くなったり、サービスがよくなったりしていくのは歓迎すべき点です。唯一といってもいい難点は、自分で比較検討しなければならない点くらいでしょう。いろいろと調べて比較検討するのは面倒だと思うかもしれませんが、比較検討した分だけ有利なサービスを見つけられます。
では、証券会社を比較検討する際には、どのような点を比べるべきでしょうか。
ポイントはいくつもありますが、やはり、証券会社の利用目的ごとに比べるのが無難でしょう。
1.普通株式の売買委託手数料
原則100株単位で株式の売り買いをする普通株式の売買委託手数料を比較すると、1日の取引金額が100万円以内なら手数料無料というコースを用意しているのが楽天証券とSBI証券です。松井証券も、1日の取引金額が50万円以内であれば手数料無料としています。
2.単元未満株の取り扱い、手数料
1単元(100株)だと投資金額が高額になる銘柄も、1株から投資できる単元未満株を取り扱っている証券会社であれば、少額から株式を購入できます。例えば、100株だと700万円近くになるファーストリテイリングも1株なら7万円近く、100株だと500万円以上もする任天堂も1株なら5万円ちょっとで買えます。
この単元未満株を取り扱っていて手数料が安い証券会社は、SBI証券とマネックス証券。手数料の体系もほぼ同じで、買うときの手数料が無料、売るときだけ0.5%(税込0.55%)の手数料がかかります。
3.投信積立の取扱本数、手数料
投資信託を積み立てで買える証券会社は多いですが、買付手数料が無料で、取扱本数の多い会社となると、楽天証券2,536本、SBI証券2,494本、松井証券1,552本といったところです。取扱本数が多ければよいというわけではありませんが、選択肢が多い分、希望のファンドが見つかる可能性は高まるでしょう。
4.つみたてNISAの取扱本数
つみたてNISAは、金融庁が定めた基準を満たしたファンドのみ利用できるようになっています。金融庁が公表している10月25日現在のつみたてNISA専用ファンドは、インデックス型173本、アクティブ型21本、ETF7本でした。
楽天証券はこのうちインデックス型160本、アクティブ型19本の取り扱い、SBI証券はインデックス型158本、アクティブ型18本の取り扱いとなっています。
また、楽天証券もSBI証券も、100円から積み立てが可能で、積立頻度も毎月だけでなく、毎週、毎日も選択できるようになっています。
5.るいとう取扱銘柄数、手数料
毎月1万円から株式を積み立てていくことができる「るいとう」(株式累積投資)は、大手証券会社くらいしか取り扱いはありません。取扱銘柄数としては大和証券が2,848銘柄で野村證券の1,811銘柄よりも多いですが、手数料は大和証券(1.265%)よりも野村證券(1.21%)のほうが安くなっています。
6.IPOの主幹事数/取扱銘柄数
IPOとは新規公開株のことをいいます。これから株式を公開(=証券取引所に上場)する企業の株式を上場前に買える仕組みです。一般の投資家は、幹事となっている証券会社の抽選に参加して、抽選で当たれば買えるようになっています。
この抽選に当たる確率を高めるためには、(1)主幹事となっている証券会社で抽選に参加する、(2)抽選に回る株数の多い証券会社で参加する、といった2つの方法があります。
2020年の実績では、SBI証券(主幹事数15社/取扱銘柄数85社)、野村證券(主幹事数22社/取扱銘柄数41社)あたりが主幹事の多い証券会社です。また、マネックス証券(主幹事数0社/取扱銘柄数50社)は、主幹事はありませんが、取り扱いの株数のすべてを抽選に回しているようなので、当たる確率はその分高くなると考えられます。
ここまでの6つの利用目的ごとの比較を総合しますと、楽天証券とSBI証券が総合力で頭一つ抜けていると思われます。普通株式の取引ならどちらを使ってもよいでしょう。そして、単元未満株ならSBI証券、投信積立やつみたてNISAなら楽天証券、るいとうなら野村證券、IPOならSBI証券か野村證券といったところでしょうか。
さらに、楽天証券とSBI証券には、以下の3つのオトクポイントがあります。
(1)楽天証券は楽天銀行の口座と、SBI証券は住信SBIネット銀行の口座とセットにすることで、自動入出金(スイープ)が可能になります。証券口座への入金や、銀行口座への出金が自動になるので非常に便利です。加えて、普通預金金利が、楽天銀行では0.1%、住信SBIネット銀行では0.01%に引き上げられます。
(2)両社とも、投資信託の残高に応じて毎月ポイントがつきます。楽天証券では楽天銀行とのハッピープログラムを利用すると、残高10万円あたり3~10ポイント(楽天ポイント)が毎月付与されます。SBI証券では投信マイレージという名称で、投信残高の年率0.03~0.2%のポイント(Tポイントまたはポンタポイント)が毎月付与されます。
(3)クレジットカード決済で投信積立(毎月5万円が上限)をするとポイントがたまります。楽天証券では楽天カードで投信積立をすると、積立額の1%がポイント還元されます。SBI証券では三井住友カードで投信積立をすると、積立額の0.5%(ゴールドカードは1%、プラチナカードは2%)がポイント還元されます(Vポイントで還元)。両社とも、つみたてNISAでの積み立てもポイント還元の対象となっています。
そして、貯まったポイントは、お買い物に使えるだけでなく、投資信託への投資にも使えます。楽天証券の場合は、楽天ポイントで株式やバイナリーオプションへの投資もできるようになっています。
今後もサービスの変更や拡充が行われるかもしれませんが、この2社の動向には要注目でしょう。個人的には、松井証券やマネックス証券あたりが、サービス競争で先行する2社に対抗して新たなサービスを展開していくことにも期待したいと思っています。
菱田 雅生(ひしだ まさお)
CFPファイナンシャル・プランナー
生活経済研究所®長野 提携講師
1級FP技能士
1級DCプランナー、
住宅ローンアドバイザー
確定拠出年金教育協会 研究員
アクティブ・ブレイン・セミナー マスター講師