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単独世帯の共済・保険は誰が請求するのか

未婚率の増加や核家族化の影響を受けて、単独世帯が増加しています。総務省統計局によると、現在36%を占める単独世帯の割合は2040年には40%に達すると予測されています。
日常生活上の様々なリスクに対して親族が担う役割は大きいものの、単独世帯には少なくとも同居親族がいません。親族間の支え合いが低下する中で、労働組合に期待される役割も変わるのが自然でしょう。その中から今回は、労働組合を通じて加入した共済や職場のグループ保険について考えてみます。

◆請求の問題
入院や療養中は、加入している共済や保険の請求手続きが自分ではできない場合があります。各種共済やグループ保険等について、受取りや請求に関するルールを確認し、組合員に適切にアドバイスできるように備えましょう。

◆基本ルール「指定代理請求制度」
共済・保険を問わず、基本骨格は共通で、被保険者本人に特別な事情(※)がある場合、契約者があらかじめ指定した代理人が被保険者に代わって、保険金等を請求できる制度です。代理人を指定する際に、契約者は被保険者の同意を得る必要があります。
指定代理請求できる保険金・給付金の種類は保障団体によって異なりますが、被保険者が受取人になっている給付が対象になります。

◆指定代理請求人の範囲
指定代理請求人の範囲は保障団体によって異なります。一般的な例は次の通りです。

例1)一般的な保険会社の場合
契約時だけでなく、請求時点でも次の範囲内である必要があります。

(1)被保険者の戸籍上の配偶者
(2)被保険者の直系血族
(3)被保険者と同居または生計を一にしている被保険者の3親等内の親族

例2)こくみん共済 coop の場合
サンプルとして団体生命共済を見てみます。

(1)共済契約者の配偶者
(2)共済契約者の直系血族
(3)共済契約者の兄弟姉妹
(4)共済契約者と同居し、または共済契約者と生計を一にする共済契約者の3親等内の親族

(1)の共済契約者の配偶者には、内縁関係にある人および同性パートナー(以下「内縁関係にある人等)を含みます。ただし、共済契約者または内縁関係にある人等に婚姻の届け出をしている配偶者がいる場合を除きます。

ここでいう同性パートナーとは、戸籍上の性別が同一であるために、法律上の夫婦と認められないものの、婚姻関係と異ならない程度の実質を備える状態にある人をいい、パートナー関係を将来にわたり継続する意思をもち同居により婚姻関係に準じた生活を営んでいる場合に限り、配偶者に含みます。また、内縁関係にある人等とは、生活実態をもとにこくみん共済 coop が認めた人をいいます。


◆アドバイスのポイント
同居親族がいない単独世帯にとって、指定代理請求制度には重要な意味があります。しかし、同じ枠組みの制度でも、保障団体が違うと指定できる代理人の範囲が違うケースもあります。

例1の一般的な保険会社の場合は、「戸籍上の配偶者」に限定されていた代理人が、例2のこくみん共済 coop では「内縁関係にある人および同性パートナー(生活実態をもとにこくみん共済 coop が認めた場合)」にまで広げられ、併せて「共済契約者の兄弟姉妹」も認められます。

この違いは、加入時に把握しておきたいと感じる組合員がいても不思議ではないレベルです。推進する労働組合としては、多様化するニーズにおける一つの訴求ポイントとして覚えておくべきでしょう。


※(1)傷害または疾病により、保険金等を請求する意思表示ができないとき、(2)治療上の都合により、傷病名または余命の告知を受けていないとき、(3)その他(1)または(2)に準じた状態であるとき
 

関口 輝(せきぐち あきら)

AFP ファイナンシャル・プランナー

生活経済研究所®長野 事務局長

公開日: 2022年01月06日 10:00