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がん保険の「3ヶ月」の空白期間を心配しなくても済む!?
これは、例えば、がんが疑われるような自覚症状のある人が、医師の診察や検査等を受ける前にがん保険に加入すること。つまりモラルリスクを防ぐためのものです。
ですから、がん保険は、医療保険などと異なり、加入してもすぐに保障が開始されるわけではなく、この免責期間中に、がんが見つかったとしても、給付金はもらえません。
「3ヶ月くらい、あっという間じゃないの?」と思うかもしれません。でも、実際には、みなさんが考えている以上に、この免責期間がネックになって多額の給付金(私の知る最高額は約3,000万円)を受け取り損ねた方がいらっしゃいます。
その多くは、気楽に受けたがん検診や診察などでがんが見つかったケースです。まさか、がんになるとは思わず、慌てて保険証券の日付を見て、3ヶ月が経過しているかどうかを確認したり、診断確定の時期の定義を保険会社に照会したり。まさに、天国と地獄といったような感覚を味わうことになります。
そこで、FPは、この保障の空白期間(免責期間)を回避するために、新契約の免責期間が終わるまで、旧契約を解約しないでおく方法をお勧めするはずです。なお、この方法は保険を見直しして、新しいがん保険に加入した場合などに有効です。新規でがん保険に加入した場合は、とにかく3ヶ月間をじっと静かに待つしかありません。
この間は、新契約と旧契約の分の保険料を払わなくてはなりませんが、もしものとき保障が受取れない事態に陥ることは避けられます。
ただし、最近、保険会社によって、空白期間への対応に差が出てきました。
まず、がん保険のパイオニアでもあるアフラックには、「新規契約に伴う条件付解約」という制度があります。これは、新しい契約に切り替える場合、保障期間を途切れさせることなく、現在加入中の旧契約を解約し、新契約に加入するしくみで、保険料の重複支払いをせずに済みます(支払方法や申込のタイミングによっては、保険料が重複する可能性もあり)。
そして、免責期間中にがんが見つかれば、新契約は無効になり、旧契約から給付金が支払われます。
<参考>アフラック「新規契約に伴う条件付解約」とは何ですか
https://aflac-direct.force.com/faq/s/article/contact0143
そして、チューリッヒ生命でも、2021年4月1日に新商品「終身ガン治療保険プレミアムZ」を発売するタイミングで、「条件付解約制度」を導入しました。
しくみはアフラックと基本的に同じ。そして、自動的に適用されるわけではなく「ガン保険契約等の乗換に関する特約」を付加する必要があります。
<参考>「終身ガン治療保険プレミアムZ」の発売に合わせて「条件付解約制度」を導入
https://www.zurichlife.co.jp/aboutus/pressrelease/2021/20210303
さらに、2021年10月2日に発売されたSOMPOひまわり生命「健康をサポートするがん保険 勇気のお守り」では、なんと、免責期間中の保険料は発生しません。
そして、同社のがん保険に加入中の契約者が、新商品に切り替える場合、「解約予約」制度を利用して、保障の空白期間を解消しています。
これは、現在加入中のがん保険の解約と新たながん保険の申込を同時に手続きすると、新契約が成立した時点で、新契約の責任開始日の前日を解約日とするものです。
つまり、3ヶ月の免責期間中は、旧契約の保険料の支払いと保障が継続。免責期間が終了すれば、新契約の保険料の支払いと保障が開始されます。
<参考>「健康をサポートするがん保険 勇気のお守り」を発売 ~予防・早期発見から治療後のケアまでトータルにサポート~」
https://www.himawari-life.co.jp/-/media/himawari/files/company/news/2021/a-01-2021-09-06.pdf?la=ja-JP
がん医療は日進月歩で、それに応じて、がん保険や医療保険の新商品のサイクルがどんどん短くなってきました。若い方であれば、保険を切り替えても、保険料がさほど変わらず、保障内容のバージョンアップも十分考えられます。
人生100年時代において保険商品を選ぶ際は、見直す際の方法にはどのようなものがあるかも確認しておくことをお勧めします。
黒田 尚子(くろだ なおこ)
CFP®認定者
1級ファイナンシャルプランニング技能士消費生活専門相談員資格
消費生活専門相談員資格
CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター