高利回りが期待できる?インフラファンド
個別の銘柄に言及するのはこのコラムで適当とは思えませんが、今回だけでは勘弁してお読みいただければ幸いです。
世界的に株価は高値圏にあることから、腕に覚えがないと個別株で売却益を得るのは難しくなりつつあります。勢い、配当利回りも市場平均ベースで見れば低下傾向にあります。そのような運用環境下、インカムゲインを期待する新たな高利回り商品として「インフラファンド」に注目してみてはいかがでしょうか。インフラファンドとは、投資家から資金を募り、太陽光発電所や道路、空港などのインフラ施設に投資する金融商品です。上場していることから、株式と同じによう売買ができます。たとえば、太陽光発電に投資するインフラファンドであれば、太陽光発電所に投資を行い売電収入を得て、その利益が投資家に分配されます。平たく言えば、J-REIT(不動産投資信託)の投資対象である不動産が、インフラに変わったものがインフラファンドと思っていただければよいでしょう。
2017年7月3日現在、3銘柄のインフラファンドが東京証券取引所に上場されています。市場規模が小さいため、機関投資家の資金が入りにくいという流動性の懸念はあるものの、一方では、機関投資家の決算等がらみの売買に翻弄されにくいプラスもあります。3ファンドとも太陽光発電設備に投資する商品ですが、いちご投資顧問が運用する「いちごグリーンインフラ投資法人」は、不動産業を営むスポンサー(いちご株式会社)により建設された強固で安定性の高い発電所に投資しています。分散の効いたポートフォリオにより、地域性なリスクも最小化。1日ごとの発電量や、ライブカメラを通じた現地の様子をHP上に表示する積極的な情報開示などに特徴があります。太陽光発電は、一定の価格で電力を買い取る固定買取制度により、20年間の買取期間が決まっています。一度確定した買取価格および買取期間は、一定の例外的な場合を除いて満期(20年間)まで変更されることはありません。安定した売電収入を得ることができるため、同投資法人は10年間の長期業績予想を開示しているのです。2017年6月30日が決算だったことから、今期からの9年間の平均予想分配金額は7,573円。7月3日の終値、9万6,100円で配当利回りに直せば、7.88%の高利回りになります。しかも、過去1年(正確には上場が2016年12月なので約7ヵ月)の最高値10万600円と最安値8万8,800円の中間値は9万4,700円、その間の値幅は1万1,800円です。やや強引ですが、7月3日の終値ベース9万6,100円で過去の値幅と同じ値動きに終始すると仮定すれば、高値10万2,000円、安値9万200円になるのです。相場に絶対はないため、あくまでも仮定の試算に結果から導き出せるのは、損失は分配金の範囲内で収まる可能性が高いのです。
同投資法人は、7月3日付けで新たに発電所2件を取得したことにより、分配金は17.7%の増配予想されています。将来、発電所をさらに取得すれば、再増配も期待できるでしょう。太陽光発電は政府が決める売電価格が開始当初の2012年から半値近くまで下がったため、成長力は期待できないものの、株式やJ-REITよりかなりの高利回り、かつ分配金の減額リスクが低い商品と言える気がしてなりません。価格変動の低い高利回り商品となりえるのか。注目してみたいと思います。
深野 康彦(ふかの やすひこ)
AFP ファイナンシャル・プランナー
有限会社ファイナンシャルリサーチ 代表