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地方における高齢化問題

高齢化対策は一言で語れるものではなく、またこうすれば大丈夫という確固たる答えも見つからない、今後日本人が安心した老後を迎えるために、国も地方自治体も民間企業もそして何よりも高齢者自身が暗中模索している状態と言っても過言ではありません。これとセットで考えなければならない問題として少子化がありますが、今回は地方における高齢化社会の実態を考えてみたいと思います。
特に地方は深刻で、今に始まったことではありませんが、子どもが県外の大学や企業に就職してそのまま帰ってこないことで嘆いている方が年々増えています。あんなに賑やかだった商店街は貸店舗や駐車場に代わってしまい、賑わいどころか人も歩いていない平日の商店街をみると、昔の賑わいを懐かしく思い、今の状態を悲しく思ってしまいます。戦後に事業を立ち上げ、家族のために一生懸命働いて、必死でお金をためて、都会の有名大学に進学させて、期待はしていなくても心のどこかできっといつかは地元に帰ってきて後を継いでくれるだろうと心待ちにしていたお父さんお母さんも多いと思います。しかし都会で就職し、始めは実家の後を継ぐために社会勉強のつもりで就職したものの、愛する人が出来て結婚となると、やはり田舎に帰ってくる人は少なくなりました。そこで初めて子どもには子どもの人生があるということに気が付く寂しい親の心があります。そんな寂しい思いをされている方々に沢山面談させていただきました。私の前では決して弱音は吐きませんが。

最近増えてきたご相談の中で、夫婦二人の老後についてどう考えるか、どう生きていくべきかという、相談というよりもどちらかというと、夫婦で考えて決めたことへの確認というか、こんな生き方で大丈夫かという質問、世間的にどうか?間違っていないかということをアドバイスしてほしいという方が増えてきたように感じます。
不動産のご相談においては、子どもが都会で家庭を持って家も建てているから地元には戻らないので、不動産を処分して夫婦で入れる高齢者住宅を考えているとか、不動産を残していたら逆に子どもに迷惑をかけるので、処分して現金化して我々はアパート暮らしをしようかと考えているなど、①子どもに迷惑をかけたくない、②子どもの世話になりたくないなど、子どもの事を思いすぎ、子どもの世話にはならない親の意地や性すら感じる場面もあります。時代の流れとはいえ、大家族が小家族になり、そして核家族化が進んでしまった結果の現れではないでしょうか。私の住んでいる半径5キロの範囲でも、空き家が随分多くなり、今にも崩れて倒れそうな住宅があったかと思ったら、数か月後には駐車場に早変わり。住宅地に有料駐車場までできてしまう始末です。
また、保険の話では、①お葬式代などいらない、②病気になった時に子どもに迷惑をかけない位の安い医療保険だけでいい。ここでも子どもの事を考える親の心が見え隠れします。
資産運用については、①子どもに残すより使いたい、②大きく増える可能性があってもリスクが多いのは嫌だ。資産家であっても今の資金を減らさないよう、不確実な運用商品には手を出したくない、確実性を求めるといった昭和生まれの賢明さ顕著さを感じる場面もあります。個人的にはその気持ちは凄くわかります。
このところケアハウス、老人福祉施設、高齢者向け住宅が急速に建設され増えていく現状をみて、日本の高齢化社会の深刻さを特に地方では感じる今日この頃です。どうすれば、高齢者が安心して暮らせる世の中になるのか、ファイナンシャルプランナーとして、老いていくクライアントさんに、老後の生き方について真剣に向き合い手助けできることはないか、行政や民間企業と連携し何かアドバイスすることはないかと考える時間が増えてきて、様々な提案を考えるようになりました。ファイナンシャルプランナーとは、昔はマネードクターとよく言われましたが、今でもそれには変わりはないのですが、変わりゆく時代の流れ、高齢化社会への対応の一環として、人生の諸先輩方への手助けやアドバイスを担うべく、今後活動していきたいと考えています。「あなたにあえてよかった。いい人生だった。」と言って頂けるファイナンシャルプランナーを目指して。


田中 美子(たなか よしこ )
AFP ファイナンシャル・プランナー
2級ファイナンシャル・
プランニング技能士
TLC(トータルライフコンサルタント)副称号:生命保険協会認定FP
損害保険上級資格
DCプランナー2級
キャリアコンサルタント




 
公開日: 2017年08月10日 10:00