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老後資金準備としてNISA・iDeCo・変額保険を比べてみよう

人生100年時代と言われています。「学ぶ時期」「働く時期」「引退後の人生」と考えられていたライフステージが今後は多様化すると同時に見直しが必要になると考えられます。老後資金の問題だけでなく、健康で長く働くことやそのためのスキル、人間関係の構築も対象となるでしょう。

老後資金といえば、運用方法や運用商品の相談が増えています。政府も「貯蓄から投資へ」を長期スローガンとして掲げていますが、いまだに現預金が約50%で、海外と比較するとまだまだ進んでいません。「資産所得倍増計画」として掲げる投資経験者の倍増、NISA買付額の倍増などもまだ進んでいないのが現状です。そこで今回は、国が後押しするNISAやiDeCoとよく比較される保険会社が扱う変額保険の違いをみてみます。

■つみたてNISA
目的:中長期で教育資金、住宅資金、老後資金など
税制優遇(拠出時):なし
      (運用時):非課税
    (受取時):非課税
商品数:多い
流動性:あり
死亡保障:なし

現行NISAは年間投資額が40万円、非課税期間20年間、非課税保有限度額が800万円ですが、2024年から新NISAがスタートし、年間投資額が120万円、非課税期間は無制限、非課税保有限度額が1,800万円(現行一般NISAと呼ばれている投資成長枠だけなら1,200万円)となり、かなり魅力的で利用価値は大いにあります。

■iDeCo
目的:長期で老後資金など
税制優遇(拠出時):掛金の全額が所得控除
    (運用時):非課税
    (受取時):税制優遇あり(年金として分割で受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金としてまとめて受け取る場合は「退職所得控除」)
商品数:少ない
流動性:原則不可(60歳まで)
死亡保障:なし

掛金が全額所得控除となるのはかなり魅力的です。所得税・住民税が軽減されます。加入している年金により掛金が制限されます。
2022年10月1日から企業型年金規約の定めによりiDeCoに加入できなかった企業型DC加入者も加入できるようになり若干緩和されました。ただし、各月の企業型の事業主掛金額と合算して月額5.5万円を超えることはできません。
2024年12月1日から確定給付型の他制度を併用する場合(公務員を含む)のiDeCoの拠出限度額が1.2万円から2万円に引上げられます。ただし、各月の企業型DCの事業主掛金額と確定給付型ごとの他制度掛金相当額(公務員の場合は共済掛金相当額)と合算して月額5.5万円を超えることはできません。

■変額保険
目的:中長期(保障が必要な期間)で教育資金、住宅資金、老後資金など
税制(拠出時):生命保険料控除
   (運用時):非課税
   (受取時):一時所得または雑所得
商品数:少ない
流動性:契約後、5~10年間は解約控除あり(保険会社による)
死亡保障:あり(保障にかかる費用あり)

変額保険は特別勘定として他の保険商品と分けて運用されます。保険商品ですので死亡保障があり、その費用がかかります。特定疾病保険料免除特約を付加すれば、特約保険料が必要ですが、該当した場合は以後の保険料が免除になり、その後の保険料を保険会社が負担し運用を続けてくれます。NISA、iDeCoでは、このような制度はないので病状によっては積み立てをストップしなければならないケースもあり得ます。満期金受取をする有期型は金融危機のような時に満期がくると元本割れのリスクがあります。保険期間を長めに設定するか終身型にするといいでしょう。

このように制度により特徴は異なります。変額保険は死亡保障に係る費用が必要なため、NISAやiDeCoと比べると運用成果は劣ります。どの商品が自分のライフプランにあった運用方法かを見極めること、中長期的な視点で考えること、また複数制度の組み合わせを検討するのもいいでしょう。


新NISAについて(金融庁HP)https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html
iDeCo公式サイト https://www.ideco-koushiki.jp/

田中 美子(たなか よしこ )

CFP®認定者

1級ファイナンシャル・

プランニング技能士

TLC(トータルライフコンサルタント)副称号:生命保険協会認定FP

損害保険上級資格

DCプランナー2級

キャリアコンサルタント

公開日: 2023年05月11日 10:00