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テーマ型ファンドの魅力と注意点

iDeCoに採用されている投資信託の中で、過去5年間の収益率が高かった投資信託を調べてみると、上位3本が「テーマ型ファンド」でした(2023年7月末日時点)。テーマ型ファンドをご存じではない方のために、今回はその魅力と注意点をご案内します。


■テーマ型ファンドの魅力とは
「テーマ型ファンド」とは、特定のテーマやトレンドに関連する企業や業界に投資するファンドです。テーマ型ファンドには、環境や社会に貢献する企業に投資するESGファンドや、人工知能やバイオテクノロジーなどの先端技術に投資するイノベーションファンドなどがあります。

テーマ型ファンドの魅力は、将来性の高い分野に投資することで、長期的な成長を期待できる点です。また、ファンド選定の基準がはっきりしているため、投資経験の少ない方にとっても、商品内容が理解しやすいという特徴もあります。自分の興味や価値観に合ったテーマを選べれば、投資に対するモチベーションや満足感も高まります。

ただし、テーマ型ファンドには注意点もあります。

■テーマ型ファンドは流行り廃りが激しく、リスクが高い
テーマ型ファンドは、社会や経済の動向によって流行り廃りが激しいといわれています。理由は、テーマ型ファンドは特定のテーマやトレンドに基づいて投資するため、そのテーマやトレンドが変化すると、投資対象やパフォーマンスが大きく変わるからです。

また、テーマ型ファンドは新興国やベンチャー企業に投資することが多いため、政治的な不安定さや経営上の問題などによって価格が急変する可能性もあります。

例えば、2000年代初頭にはITバブルによって、インターネット関連のテーマ型ファンドが人気を集めましたが、2001年にはITバブルが崩壊し、インターネット関連のテーマ型ファンドは大きな損失を被りました。

2020年には新型コロナウイルスの感染拡大によって、旅行やレジャー関連のテーマ型ファンドは大きな損失を被る一方で、医療やヘルスケア関連のテーマ型ファンドが人気を集めました。ところが2021年にはワクチンの普及や感染状況の改善によって、医療やヘルスケア関連のテーマ型ファンドのパフォーマンスが低下しました。

■テーマ型ファンドは手数料が高い
テーマ型ファンドは、一般的な株式ファンドやインデックスファンドよりも手数料が高い傾向にあります。理由は、テーマ型ファンドの運用には専門的な知識や分析が必要なため、運用会社が高い報酬を求めるからです。

例えば、イノベーションファンドの平均的な運用手数料は年間1~2%ですが、先進国株式インデックスファンドの平均的な運用手数料は年間0.1~0.2%です。この差は長期的に見ると大きな影響を与えます。例えば、10万円を10年間運用した場合、運用手数料が年2%の場合は約2万円の手数料ですが、運用手数料が年0.2%なら約2千円の手数料ですみます。

■テーマ型ファンドに投資する際のアドバイス
テーマ型ファンドは、自分の興味や価値観に合ったテーマに投資することで、長期的な成長を期待できる魅力的な投資商品です。しかし、テーマ型ファンドには流行り廃りが激しく、リスクが高いというデメリットもあります。また、手数料が高いため、運用コストも考慮する必要があります。

そこで、テーマ型ファンドを選ぶ際には、以下の点を考慮してください。

テーマ型ファンドは分散投資の一部として利用することが望ましいです。テーマ型ファンドだけに投資すると、特定のテーマやトレンドに左右されるリスクが高まります。テーマ型ファンド以外にも、国内外の株式や債券などの幅広い資産クラスに投資することで、リスクを分散させましょう。

また、テーマ型ファンドは自分の理解や信頼できる情報に基づいて選ぶことが重要です。テーマ型ファンドは多種多様であり、同じテーマでも内容や運用方針が異なる場合があります。テーマ型ファンドはマーケティングや宣伝によって人気が高まる場合もありますが、それだけでは十分な判断材料にはなりません。テーマ型ファンドの特徴やパフォーマンスをしっかりと確認し、自分の投資目的やリスク許容度に合っているかどうかを判断することが必要です。

以上のように、テーマ型ファンドは魅力的な投資商品ですが、注意点もあります。自分の興味や価値観に合ったテーマを見つけて、楽しく投資しましょう。ただし、過度な期待や感情に流されず、冷静な判断を忘れないようにしましょう。

中山 浩明(なかやま ひろあき)

CFPファイナンシャル・プランナー

生活経済研究所®長野 主任研究員

公開日: 2023年08月31日 10:00