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終活にデジタル遺産(遺品)も忘れずに!

皆さんは、毎日当たり前のようにスマートフォンやパソコンを操作し通販サイトで買い物をしたり、どこかの会員になったり、ネット口座を開設し金融商品の売買をしたりしていませんか。様々な契約事も紙のやりとりから電磁的方法に変わりつつあり、スピーディーで簡単に様々な事ができる時代になりました。便利で時間短縮になるなど多くのメリットがもたらされた半面、もし突然自分が亡くなるようなことがあったら、ロックがかかっているスマートフォンやパソコンを遺族が操作して確認できるでしょうか?我が家では夫から「お前が死んだら、さっぱりわからない」とよく言われます。通帳や保険証券、自動車や不動産など目に見えるものであればまだしも、スマートフォンやパソコンで交わした契約事や通販で定期的に購入しているものなどは、自分にしかわからないものです。解約はどのようにするのか、どこに連絡するのか、そもそもどこで何を契約しているのかすらわからないのが実態かもしれません。
このようなデジタル遺産(遺品)について、遺族に迷惑をかけない託し方を考えてみます。

■デジタル遺産とは
(1)金融商品
・ネット銀行の口座
・ネット証券の口座
・暗号資産
・FX(外国為替証拠金取引)
(2)ポイント
・各種ポイントやマイレージ
(3)有料の会員サービス
・定期課金サービス
・サブスクリプション契約(動画や音楽を楽しむ定額の有料サービス)
(4)その他
・電子マネーの残高
・通販サイト

■デジタル遺品とは
デジタル遺産とは違い、金銭に繋がらない財産をさします。例えば、スマートフォンやパソコンに保存されている写真や書類のデータ、ダウンロードした音楽データ、或いはクラウド上に保存されているデータやSNSのアカウントなどです。一般的にはこれらのデジタル遺品も含めてデジタル遺産と呼ばれています。

過去に、田舎で一人暮らしをしていたお父様がお亡くなりになって、相続手続きや遺品整理などで実家に帰った息子さんが、テレビの番組が有料サービスだったことを知らずにそのまま放置していたところ、毎月利用料が引かれていたため慌てて解約したという話を聞いたことがあります。また、お父様は健康食品を定期購入していたらしく、色々な食品が送られてきてしまった。もちろん解約はしたものの、送られてきた商品については支払いが必要だったともお聞きました。知っていれば余分なお金は支払わずに済んだものです。

そこで、終活にはデジタル遺産(遺品)を含めた生前整理が必要だと考えます。
特に金融商品などを保有している場合は、金融機関名やログイン方法などの情報をエンディングノートに記録して、家族に伝えておくようにしましょう。また、定期的に支払っている有料サービスなどがあれば、それも記録しておきましょう。これらを遺族が把握していれば、後々無駄なお金を支払うことなく解約できます。また、使う頻度の少ないサービスなどは徐々に整理しておくことも大切です。
スマートフォンやパソコンにロックがかかっている場合、遺族はSNSや電話帳を確認できず、誰に葬儀の連絡をすればいいかもわかりません。核家族化が進み親の友人知人を知っている子世代は決して多くはないでしょう。エンディングノートを活用し友人関係のリストを作成しておくといいでしょう。また、スマートフォンの中には記念の写真などもあるかもしれません。データを移して遺族が見られるようにしておきたいものです。SNSなどを活用している場合は、遺族がアカウントを削除できように、どのサービスを使っているかを知らせておきましょう。
終活は目に見えるものだけでなく、目に見えないデジタル遺産(遺品)を含めた対策を取り入れていただきたいと思います。
 

田中 美子(たなか よしこ )

CFP®認定者

1級ファイナンシャル・

プランニング技能士

TLC(トータルライフコンサルタント)副称号:生命保険協会認定FP

損害保険上級資格

DCプランナー2級

キャリアコンサルタント

公開日: 2023年11月16日 10:00