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保障(共済・保険)に家族情報を登録する必要性

共済や保険の加入に併せて、加入者の家族情報が登録できるのをご存じでしょうか?
保障団体によりネーミングは若干異なりますが、「家族(情報)登録制度」や「親族連絡先制度」と呼ばれています。現役の社会人にも、退職した高齢者にも、1人暮らしが増加している現代に対応した、比較的新しいサービスです。

◆サービスの概要
契約者が何らかの理由で保障団体と連絡が取れなくなった場合に備え、あらかじめ指定した家族(親族)を緊急連絡先として登録しておく仕組みです。
保障団体からの郵便物が届かない、電話連絡に応対がないといったケースや、地震や台風などの災害で連絡がつかなくなってしまったケース、逆に契約者サイドが保障団体に契約内容を確認したいものの、契約者本人が入院中で問い合わせができないといったケースにも活躍します。

◆登録できる家族の範囲
保障団体ごとに、「契約者の配偶者」「6親等内の血族」「3親等内の姻族」「3親等内の親族」、あるいは登録する契約の「受取人」「指定代理請求人」など、一定の制約があります。共通しているのは、未成年者や法人の登録ができないことです。
1契約につき1名の登録が一般的ですが、複数名の登録が可能な保障団体や、「緊急連絡先」として登録する家族と「情報開示(契約内容の照会)」もできる家族とを別々に登録できる保障団体もあります。

◆登録に必要なこと
氏名、住所、電話番号、生年月日、性別、続柄などを登録します。
登録された家族は、契約内容を照会できる立場になるのが一般的なため、必ず契約者の同意が必要になります。一方で、登録された家族が保障団体に情報照会する場合は、該当契約の契約番号(証券番号)が必要になります。問い合わせ時に加入契約を特定できなければ内容照会もできないため、登録する家族側にも一定の準備が必要になります。

◆できることとできないこと
通常であれば、個人情報保護を理由に契約者以外の問い合わせには応じてもらえない契約内容の照会が、登録された家族からの請求であれば応じてもらえます。さらに、給付金等の請求書類の送付依頼、手続方法の説明等が受けられる場合もあります。
一方で、引き落とし口座の番号や給付金の支払歴などについては回答を得られない保障団体もあります。また、共済金・保険金などの請求手続きや契約内容の変更手続きを、受取人や契約者に代わって行うこともできません。登録された家族にできるのはあくまで契約内容の照会、請求書類の取り寄せまでになります。

◆家族が請求までするためには
契約者があらかじめ指定した代理人が共済金・保険金等を請求できる制度として「指定代理請求制度」があります。共済・保険を問わず基本骨格は共通ですので、加入先の保障団体のルールを確認したうえで有効に活用しましょう。
「指定代理請求制度」については、過去のコラムに詳細がありますのでご参照ください。
※コーポレートサイト:https://fpi-j.com/column/column3900/

◆契約の有無がわからない
中には「そもそも契約の有無がわからない」という人もいるかもしれません。生命保険契約であれば、「生命保険契約照会制度」が活用できます。生命保険の契約者・被保険者が、(1)亡くなった、(2)認知判断能力が低下した、(3)災害で家屋を失い請求が困難になった場合に、本人に代わって法定相続人、法定代理人、3親等内の親族などが契約の有無について、一般社団法人生命保険協会に対し一括照会できる制度です。
損害保険の場合は、一般社団法人日本損害保険協会が「自然災害等損保契約照会制度」を実施しています。これは、災害時に限定した契約有無の照会制度で、契約者・被保険者の死亡や認知判断能力が低下した場合は対象としていません。
これらの制度についても、過去のコラムに詳細がありますので、ご参照ください。
※コーポレートサイト:https://fpi-j.com/column/column2128/

◆今すぐできること
「家族(情報)登録制度」や「親族連絡先制度」は、加入時だけでなく加入途中でも登録できるものが一般的です。課題を先延ばしせず、まずは加入先の保障団体に問い合わせするなど、今すぐできることを実行しましょう。その中で、「指定代理請求制度」も設定すべきだったことに気づくなど、課題解決に向けた見直しが進められるかもしれません。
 

関口 輝(せきぐち あきら)

AFP ファイナンシャル・プランナー

生活経済研究所®長野 事務局長

公開日: 2024年04月04日 10:00