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空き家の活用と処分方法を考える

2024年4月1日より相続登記が義務化されました。全国的に所有者不明の不動産が増え続け、特に高齢化が進む地方においては、放置されたままの空き家も多く簡単には解決できないのが現状です。相続登記を確実に行っていかないと、相続人が増え続け大変なことになりかねません。まず空き家を知り、備えるためにはどうしたらいいか、そして空き家を有効活用するにはどうしたらいいか考えてみたいと思います。

■空き家を知る
空き家を放置すると、様々なリスクやデメリットがあります。人の出入りのない状態が続くとあっという間に老朽化してしまい、状況によっては修理にかなりのお金がかかってしまいます。また塀の破損や外壁や瓦の落下も考えられます。そうなると近隣の通行人の方にケガをさせる恐れがあり損害賠償などの管理責任を問われることもあります。また固定資産税や水道光熱費、火災保険料などの費用もかかり、他にも動物のすみかになったり、ゴミを不法投棄されたりして衛生環境も悪化します。庭に木を植えていたら、隣地や道路などに草木が越境することもあり、一番怖いのは放火・不審者の侵入ではないでしょうか。

■備える
空き家の所有者が亡くなったあと、相続人の間で遺産分割が上手くいかずに空き家が放置されてしまう場合があります。また認知症になってしまうと、自宅の売却や賃貸、リフォームなど、契約を伴う行為ができなくなります。対策としては、遺族が困らないようにするために、誰に相続するかを決めておく方法として遺言書の作成があります。認知症になった時の備えでは、財産の管理や処分をしてくれる人を選んでおく方法として任意後見制度、財産の管理や処分を家族に託したい場合は家族信託をする方法が考えられます。
ですから、このような状況になる前に人も家も元気なうちから考えておくべきなのです。

空き家を有効活用するための決断に必要な3つのこと
(1)お金の整理
自分の家はいくらで売れるか、解体するにはいくらかかるか、使える補助金はあるかなどの費用に関することの目算を立てておくことです。

(2)行く末の整理
家の活用や処分にはどのようなものがあるか、それぞれのメリット・デメリットを知り、十分に把握することが大切です。

(3)気持ちの整理
先祖代々過ごしてきた家を自分の代で終わらせていいのか、思い出を何か残すことはできないか、気持ちの整理をすることはとても難しいことです。家の外観、家族団欒の部屋、柱の傷など、思い出がある家の場所を写真や動画で撮影しておきましょう。家財の整理をすると親が使っていたものがでてきて処分は辛いですが、特に残しておきたいものは形見として持っていたらいいと思います。
住んでいるうちから少しずつ整理をしていくことが、先々のことを考えたらベストであると気持ちの整理をすることが大事です。

■空き家を有効活用するには
①家族で使う
<メリット>思い出と一緒に家を残していける
<デメリット>なし
②貸す
<メリット>建物を持ち続けられる・家賃収入が得られる
<デメリット>入居者がいなければ収入はなし・修繕・リフォームする場合は原則所有者の負担
➂売る
<メリット>維持費用や管理の手間がかからない・一時的にまとまった収入が得られる
<デメリット>必ず売れるとは限らない・希望の金額で売れるかわからない
➃解体する
<メリット>土地として売りやすくなる・維持管理がしやすくなる
<デメリット>解体費用がかかる・固定資産税が上がる
⑤譲る
<メリット>解体費用は負担しなくていい
<デメリット>売却金額は入ってこない
相続または遺贈によって手に入れた土地について、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国に引き渡すことのできる「相続土地国庫帰属制度」が2024年4月に増設されました。

全国の行政には空き家対策チームがあり、空きやバンクというものあります。まずは行政に相談し具体的なことは専門家に繋いでもらい、空き家の有効活用をしていくことをお勧めします。

田中 美子(たなか よしこ )

CFP®認定者

1級ファイナンシャル・

プランニング技能士

TLC(トータルライフコンサルタント)副称号:生命保険協会認定FP

損害保険上級資格

DCプランナー2級

キャリアコンサルタント

公開日: 2024年08月22日 10:00