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今年は変額保険の年?絶対にオススメしないシンプルな理由

最近、「NISA的な保険をすすめられた」という声を耳にしました。
NISA的な保険?そんなもの、あるわけがありません。
一般の人の知識のなさにつけこんで、ヒドいセールストークを使う人がまだまだいるんですね。

実際に提案された商品は、変額保険だったようです。
確かに、変額保険の運用が行われる特別勘定は、投資信託のようなものですので、「NISAの非課税投資枠の対象商品である投資信託のようなもので運用している保険」というのを、思いっきり略して「NISA的な保険」としたのかもしれません。

しかし、変額保険は当然ながらNISAの対象ではありません。利益が非課税になる税制優遇もありません。どう考えても、一般の人に、「NISAというのは聞いたことがある。それなら信用できるのかも」と思わせるだけのために使われた言葉なのではないでしょうか。

最近、保険会社の戦略商品が、外貨建て保険から変額保険に変わってきているようです。
これは、外貨建て保険について、金融リテラシーの低い高齢者を対象に過度に販売されていた実態を受けて、金融庁が規制や監督指針を強化する方向性を打ち出したのも一つの要因だと考えられます。売りにくい商品から売りやすい商品に戦略転換したのでしょう。

その外貨建て保険よりは売りやすい変額保険を、より売りやすくする言葉が「NISA的な保険」だったのかもしれませんが、外貨建て保険も変額保険も、FPとしては絶対にオススメしないので、そのシンプルな理由を理解しておくとよいでしょう。

ちなみに、外貨建て保険や変額保険をオススメするFPがいたとしたら、それは確実にその商品を売ることで生計を立てているFPです。まともなFPであれば、お客さまのことを考えて、外貨建て保険や変額保険をすすめることはありません。

シンプルな理由は、ズバリ!「運用に回るお金が少ないから」です。
例えば、同じ100万円を、投資信託に投資する場合と、変額保険の保険料として一時払いをする場合とで比較しましょう。

投資信託は、買う時の手数料(販売手数料や申込手数料など)が2%や3%差し引かれるファンドもありますが、最近では販売手数料のかからないノーロード(無手数料)のファンドも増えています。ノーロードのファンドなら、100万円全額が運用に回されます。

そして、投資信託は運用中に運用管理費用(信託報酬)とその他費用が差し引かれます。そのコスト負担は軽いもので年率0.1%前後、重いもので年率2%前後です。

ということで、投資信託の場合は、100万円を投資すると、全額を運用に回せますが、高い場合は年率2%前後のコストが差し引かれると考えておけばよいでしょう。

一方、変額保険の場合は、保険料のうち20~40%程度が、付加保険料として差し引かれます。
付加保険料とは、保険運営にかかるコストで、保険募集費や契約管理費、保険金支払いのための管理費などです。「20~40%程度」と幅が大きいのは、保険会社によって異なるだけでなく、保険の種類や販売経路によっても異なるから。情報開示がなされていないので、正確にはわからないブラックボックス状態なのが現実です。

さらに、変額保険の場合は、保障に回るお金である保険関係費が差し引かれますので、運用に回せるお金はそれだけ減ることになります。付加保険料と合わせると30~50%は差し引かれている可能性があります。

そして、運用に回るお金から運用管理費用(信託報酬)やその他費用が差し引かれるのは投資信託と同じです。

ということは、変額保険の場合、一時払いで100万円の保険料を支払うと、運用に回るお金は多くても70万円くらいで、少ない場合は50万円程度だと予想されます。さらに、運用にかかるコストは投資信託同様にかかるわけですから、一般の投資信託よりも変額保険のほうが運用成績がよくなる(=大きな収益が得られる)可能性は、ほとんどゼロに近いでしょう。

基本的な仕組みは外貨建て保険も同じです。だからこそ、外貨建て保険や変額保険を運用目的で利用するのは絶対にオススメできないのです。

じゃあ、保障が必要なら利用してもいいのか、と思う人がいるかもしれませんが、個人的には保障が必要だったとしてもオススメしません。なぜなら、そもそも、保障に回るお金も正確にはわからないからです。掛け捨ての保険で保障を買ったほうが、保険料が安い可能性も十分にあると思います。

実は、このことは、貯蓄性のある保険と言われる養老保険、こども保険(学資保険)、個人年金保険、終身保険など、すべてに共通する構造上の問題です。なので、これからどんなに金利が上昇して予定利率が上がっても、これらの商品を優先的にオススメできる状況にはならないでしょう。

シンプルに言えば、保障は保障、運用は運用です。セットにしないほうがオトクです。

菱田 雅生(ひしだ まさお)

CFPファイナンシャル・プランナー

生活経済研究所®長野 提携講師

1級FP技能士

1級DCプランナー、

住宅ローンアドバイザー

確定拠出年金教育協会 研究員

アクティブ・ブレイン・セミナー マスター講師

公開日: 2025年03月06日 10:00