ご相談内容の変化と社会背景
首都圏と地方の時差はありますが数年前までは相談内容の多くは①「保険の見直し相談」でした。しかし最近では将来的な年金の不安や超低金利の影響か②「お金の運用や増やし方」と定年退職した方や資産を多く持つ高齢者の方々や事業継承などの③「相続対策」がかなり多くなってきています。
①に関しては、インターネットのおかげで、顧客が多くの情報を得ることができるようになり、保険を売る人が保険会社の社員だけではなく、代理店の登場で色々な組み合わせをする保険の単品選びが浸透した結果、ご相談が減ったのかもしれません。
②に関しては情報を得ることはできても、結局自分はどんな商品でどのように運用して、教育費や老後に備える資金を考えればいいのか?という手段を問われます。少子高齢化や年金制度への不安が社会背景としてあり、相談者自身もなんらかの対策をしていなかったら将来が危ないという危機感を感じています。しかしながら、どのような手段でどのような商品でという具体的な方法に関してはやはり苦手な方が多いようで、インターネットで調べて本も読んだけど、わからないので相談にという方が増えている様に感じます。
好景気で預貯金の金利が高く、保険を使うなら予定利率の高い保険で積み立て型なら保障と貯蓄の両方ができるという時代だったころは、何も迷わず銀行や保険会社の商品を選んだことでしょう。破綻をしない限り約束した運用をしてくれます。しかも円建て商品です。しかし今では、そのような魅力的な商品はどこにも存在しません。したがってリターンを求めるなら投資系の商品を探さなければならないし、リスクを伴う可能性があるので十分な理解も必要です。投資教育を受けていない方たちにとっては厳しい選択かもしれません。私の年代では予定利率の高かった保険や、銀行等の高金利時代を知っていますから、今の銀行や保険会社の円建て商品は、ただ預けているだけとしか思えません。だから投資系商品への知識と理解が必要となります。
③に関しては、相続税の増税を受けて何か対策をしておかなければいけないのはという漠然とした相談から、相続税の負担をかけないように子供や孫に移転する方法、合法的な節税方法のご相談が増えてきました。一生懸命働いて貯めた資産を、相続してほしい人にあげたいし、何も対策せずに税金で持っていかれるなんてとんでもないですよね。
これらのご相談の対策は、当初は単発の不安からお話が始まり、深堀していくと全ての項目に関わってくる、或いは全ての事柄から見直していくという場面もあります。よって、1つだけ解決してもそれだけでは終わらないということが昔に比べて非常に多くなってきているように感じます。
先般選挙がありました。将来的には消費税も上がるでしょう。確かに株価が上がり企業は潤っているかもしれません。しかし私たち庶民の生活はどうなのか、恩恵を受けている方はどのくらいいるのでしょうか?先般東京から高知に来た知人が、商店街がシャッターで閉まっている店の多さに驚いて「前に来たときはこんなことはなかったよね?」と言いました。正直悲しかったし間違いない事実です。地方は高齢化が進み商店などの事業の後継者がいない若しくは都会にいるから後継ぎがいないと嘆いています。おそらく、私の住む高知県だけの問題ではなく、全国の地方は同じような状況ではないでしょうか。このような現実を受け止めて必死で働いて子どもや孫を思い、また決して明るいとは言えない将来の不安に悩みながらも、現実と一生懸命向き合って相談して下さる方々の力になれるよう、不安を安心に、そして笑顔に変えていけるようなファイナンシャル・プランナーの一人になれるよう努力しなければいけないと痛感します。
田中 美子(たなか よしこ )
AFP ファイナンシャル・プランナー
2級ファイナンシャル・
プランニング技能士
TLC(トータルライフコンサルタント)副称号:生命保険協会認定FP
損害保険上級資格
DCプランナー2級
キャリアコンサルタント