全員

備えあれば憂いなし、同じ苦労はしてくれるな パート1

私事で申し訳ありませんが、筆者と同じような苦労を読者の方々に味わっていただきたくないためご容赦願いたい。筆者の母は、父が4年前に他界したことから、実家に一人で住んでいる。その母が脳梗塞で倒れたのです。その顛末を2回にわけて書かせていただきたい。

母は86歳。5月の連休前後に体調がおかしくなったようで、数日間寝込んでいた。その後、徐々に体調は回復したが、当初は認知症を患ったのではないか?と思った次第である。
そのため5月から、月1回以上は実家に寝泊まりし(別途週末にも日帰りで会っていた)、母の状況を見守っていた。夏場に熱中症になった感はあったが、無事秋を迎え、体調はかなり回復したと本人は自覚したため、筆者が少し安心したのがいけなかったようである。それまでは2~3日に1度は必ず電話していたのだが、母の言葉を信用して電話の回数を減らしてしまったのだ。その矢先に脳梗塞が母を襲ったのである。

話が前後するが、6月頃、何とか母を説得して病院でMRI検査等を受けてもらった。その際医師からは「脳梗塞を心配するような状況ではない」と言われていた。母を襲った脳梗塞は、心臓から血栓が飛んだのが原因(原因を究明する際に不整脈が発覚)だったが、母からは心臓に関することは何も聞いておらず、また市が行う健康診断等も受けていなかった。しかも、脳梗塞を起こした当日、母はただ単に体調が悪いのだろうと思っただけで、わが家にSOSの電話すらなかったのだ。その後、時の経過とともに体調は悪化、布団を敷くこともできず、毛布などにくるまって寝ており、ついに体調悪化に耐えられず翌早朝に電話をかけてきたのである。電話をかけてきたとはいえ、ワンコールで電話は切れ、また受話器を戻すことができなかったため、電話はずっと話し中の状態。ここで何か起こったと察知して、都合のついた妻に行ってもらったところ、母が倒れていたのである。
それから救急車で病院に運ばれ、脳梗塞の治療・看病が始まった。幸いにして脳梗塞は軽く、このコラムを書いている時点では治療の病院からリハビリ専門病院に転院してリハビリに励んでいる。


今回の一件で痛感したことがある。それは、もしもの時のSOSをどうやって親から出してもらうか?ということである。筆者のように親が一人で住んでいる場合、どうSOSをキャッチするのかも考えておかなければならないだろう。また、救急車を呼ぶことにためらうべきではない。幸いにして母の脳梗塞は軽く済んだが、脳梗塞などの救急を要する(時間との勝負)病の場合は躊躇すべきではない。筆者は朝早くだったことから、ご近所の事を考えて躊躇してしまったことを後悔している。また、実家は区画整理が済んでおらず(市の予算不足で頓挫)、袋小路にあるため、救急車が自宅近くまで入ってくるのが非常に困難であった。庭の隅に出入口があるのだが、ほとんど使用していないため、その出入口付近には植木鉢がずらっと置かれている状態であった。道の広さの関係で救急車が付けられたのは使用していない出入口の方。植木鉢をどかし、さびついた門を開けるのに苦労したらしい。さらに、家の鍵が古くなかなか開かない状況だったため、妻は最悪窓ガラスを壊して入る覚悟であったことを聞かされた。数分のロスだったかもしれないが、導線の確保、家の鍵(施錠)の交換をしておけばロスは防げたと考えられる。わが家は大丈夫と慢心する事なく、もしもに備えていただきたい(つづく)


深野 康彦(ふかの やすひこ)
AFP ファイナンシャル・プランナー
有限会社ファイナンシャルリサーチ 代表
公開日: 2017年12月28日 10:00