備えあれば憂いなし、同じ苦労はしてくれるな パート2
前回、母親が脳梗塞で倒れ救急車で運ばれリハビリ病院に転院した顛末から、皆さんに備えておいてもらいたいことをお伝えしました。今回はパート2と題して、お金周りなどに関する備えをお伝えしたいと思います。
その前に、パート1でお伝えし忘れたことをご案内します。①両親の「かかりつけ医」を聞いておくことと、②「お薬手帳」がしまってある場所を聞いておくことです。①「かかりつけ医」は診察券があればわかるかもしれませんが、容易には見つからない場合もあります。
筆者の場合、「かかりつけ医(診察券)」は聞いていたうえ、「お薬手帳」も置いてある場所がわかっていたので事なきを得ましたが、捜すという観点では非常に苦労したこともあります。高齢者に配布される「介護保険証」が見つからなかったのです。健康保険証は直ぐに見つかったものの、「介護保険証」の存在は忘れていました。
介護保険の第1号被保険者になると、健康保険証(医療)とは別に1人1枚の介護保険証(介護保険被保険者証)が市区町村から交付されます。要介護認定の申請やケアプランの作成依頼、介護サービスを利用するときに必要になるのですが、救急病院に運ばれたとき、リハビリ病院に転院したときにも、健康保険証と介護保険証の提示を求められたのです。その度に介護保険証が見つからず…と何度も頭を下げることになりました。ちなみに、40歳から64歳の第2号被保険者は、要介護、要支援の認定を受けた人などに交付されます。
話を戻しますが、何度も提示を求められるので真剣に捜したわけですがなかなか見つかりません。母親の脳梗塞は言語を司る脳の部分に血栓が飛んでしまったので、軽い認知証のような症状も出ています。当然母親に介護保険証のありかを聞いても、そんなものは見たこともないと言われる始末。仕方なく、実家に帰る度に家捜しを行い、何とか5回目で見つけた次第です。
母親が入院してから実家にはだれも住んでいませんが、母親の着替え、仏壇は寒い家に置きっぱなし、家が痛まないように換気を行う等々で度々帰っています。その中で見つけたのですが、見つかった場所を考えると母親が見たこともないと言ったのが納得できた次第です。ついでに言うとマイナンバーも同じところに無造作にしまいこんでありました。しまった置く場所を聞いておくに越したことはありませんが、少なくともどこにあるかの手かがかりがあると家捜しは格段に楽になるはずです。
さて、本題のお金に関してですが、母親は新聞、牛乳、ガスなどの支払いは銀行引き落しではなく、集金払いとしていました。これらは直ぐに配達を止めたのですが、機転がきかず新聞、牛乳に関しては2ヵ月近く支払いを滞らせてしまいました。水道光熱費などは現金払いなのか、口座引き落しなのかをしっかり確認しておくべきです。
また、困ったのは母親が公的年金を受け取っている金融機関はわかるのですが、通帳、印鑑、キャッシュカードが見つからなかったことです。母親に聞いてもあそこにあるはずと言うばかり。母親は必要な現金を1ヵ月に1回降ろしに言っていたため、現金のありか(お財布)は直ぐにわかったのですが、その他は介護保険証と機を同じくして家捜しをするはめになったのです。
通帳、印鑑は常に持ち歩きませんが、キャッシュカードは財布などに入れて持ち歩いているのが我々世代の感覚ですが、母親、もしかしたら高齢者の大多数はお金を引き出す際以外は持ち歩いていないのかもしれません。結局、介護保険証以上に家捜しをしてこれらは見つかったのですが、なんらかの手かがりさえあればと何度も思いました。読者の皆さんも筆者と同様の苦労をしないために、高齢の両親がいる場合は、常日頃から連絡を密に行い、また必要なものの置き場所を聞いておくことです。両親が教えたくないと言ったら、捜す手かがりになるメモは作っておいて欲しいと述べておくべきです。
深野 康彦(ふかの やすひこ)
AFP ファイナンシャル・プランナー
有限会社ファイナンシャルリサーチ 代表