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個人も課税関係を意識して資産運用すべき

2018年、世界の株式市場はロケットスタートとなりました。今年は戌年。相場格言は「戌笑う」うえ、専門家の予測も大多数が強きで期待が持てそうです。
一方、昨年後半に暴騰して注目を集めたビットコイン(仮想通貨)は、乱高下の動きとなっています。そのビットコイン、筆者もさまざまなところで投資してみたいのが、どう思っているか?という質問を受けました。その答えは「税制にメリットがないからやめた方がいい」と一貫して答えています。ただ、納得していない人もいることから、「課税関係」を述べた後、それでも投資したければ無くなってもよいお金で投資してみては?と付け加えています。課税関係、正確には出口を意識して投資を行う必要が個人もこれから重要になると思われてならないからです。

ビッドコインの利益に対する課税は、当初「譲渡所得」扱いになり総合課税と言われていましたが、昨年、国税庁は「雑所得」扱いで総合課税とする通達を出しました。利益を得た場合、確定申告を行って納税します。その利益が譲渡所得なのか、雑所得なのかは問わず、そもそも総合課税になる運用にメリットはないと考えているからです。総合課税になれば、勤労者であれば給与、リタイア世代であれば公的年金などと合算した所得に対して税金が課せられるのです。その税率は住民税と合わせて最低15%から最高55%となっています(復興特別所得税は除く)。しかも、ビットコインの場合、売却した時だけではなく、ビットコインで買い物をしたケースも利益確定とみなされるとのこと。どうやって税務署が把握するのかは定かではありませんが、高額の税金から逃れることはできないのです。
税金も然ることながら、健康保険料、介護保険料にも影響があるということを理解しておかなければありません。社会保険(=勤労者)であれば、確定申告を行うことで税金が増えるだけですが、国民健康保険に加入している人は、確定申告を行った結果、世帯所得が増えてしまい、結果として国民健康保険料(「保険税」ともいう)、介護保険料負担が高くなってしまうのです。高齢者の場合、病院での窓口負担が3割になったり、介護保険を利用した場合の負担も2割(2018年8月からは3割に)になったりしてしまうことさえありえるのです。高額療養費の負担区分も現役並み所得となる可能性も否定できないのです。

このような負担が増えるのはビットコインなどの仮想通貨だけではありません。簡単に言えば、その利益に対して確定申告が必要な資産運用は、全て対象になるのです。身近なところでは「外貨預金の為替差益」です。外貨預金の利息は、20.315%の源泉分離課税扱いですが、為替差益は雑所得で総合課税になるのです。つまり、ビットコインの収益と扱いは同じです。余談ですが、雑所得は雑所得内であれば損益通算が可能となっています。外貨預金の為替差益とビットコインの差損、あるいはその逆のケースも損益通算ができます。
話を戻せば、外貨に投資するという金融商品では「外貨建てMMF」があります。外貨建てMMFの課税は、分配金、為替差益ともに税率20.315%の申告分離課税扱い。平たく言えば上場株式と同じです。いくら利益を上げても税率は20.315%の一律で変わることがありません。特定口座を利用できるできるため、「源泉徴収あり」の口座で取引すれば、税金の計算から徴収まで金融機関が行ってくれるのです。つまり、国民健康保険の加入者が外貨建てMMFに投資して利益を上げた場合、確定申告さえ行わなければいくら利益を上げても保険料に影響がないのです。しかも、上場株式等の損益通算を行うことも可能なのです。商品によって課税関係が異なることから、これからは個人も課税関係を考えたうえで投資を行うべきなのです。


深野 康彦(ふかの やすひこ)
AFP ファイナンシャル・プランナー
有限会社ファイナンシャルリサーチ 代表
公開日: 2018年01月25日 10:00