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ペット保険は必要か?

わが家では13歳になる猫を飼っています。完全室内飼いで、外に出るのは庭で日向ぼっこするとき、私が夫と散歩に行くとき、車で買い物に行くときくらいでしょうか。子どもがいないわが家にこの猫が来たのは、飼い主だった主人の叔母が急死し、子猫は引き取ってくれた方がいたものの、すでに1歳を超え大人だったこの猫には、残念ながら引き取り手が見つからなかったからです。いわば独身で一人暮らしだった叔母から相続した猫なのです。それまで動物を飼ったことがなく、過去に営業先でお客様の飼い犬に足首をかまれた経験もあり、また、猫は懐いてくれない、逃げる、目が光って怖いというイメージもあり、引き取る時に少し覚悟が必要だったのを覚えています。
当然、猫の扱い方や接し方もわかりませんでした。夫婦共働きのため日中は留守になる自宅に餌を置いて飼い始めましたが、帰宅時に玄関まで走って迎えに来て、甘えた声で鳴きながら顔を擦りつけてきたときは感動ものでした。猫ってこんなに甘えるのかと。また、自宅に来た初対面の方にも甘えるので、驚きと感動で猫嫌いが猫好きになって帰るのは不思議です。この子の持って生まれた性格でしょうか。

さて、本題ですが、私がこの猫を飼い始めた頃は、今のようなペットブームではありませんでした。しかし、ペットは本来、一過性のブームで語るべきものではなく、家族の一員です。健康を考え、守るのは家族である私たちの責任です。動物医療の高度化や飼育環境の改善で、ペットの平均寿命は年々伸びています。人間と同様にペットも高齢化が進む中、ペット医療には公的な保険制度がなく、すべてが自由診療のため医療費は「10割」負担です。
ペット保険は、有効に活用することで医療費負担を軽減することができるため、人気が高まっています。お客さまからの相談も増えています。例えば猫は、がんや糖尿病や腎臓病など人間と同じ病気になりますが、動物病院での治療費は高額なのが実態です。
我が家もペット保険に加入していますが、この11年間は結膜炎や鼻炎を患った程度で、特に大病もなく過ごしてきました。ところが昨年の秋、年に1回のワクチンと血液検査の際に、医師からいきなり腎不全を告げられました。病院に連れて行った主人が落ち込んで帰宅したため、事情を聞いた私は大泣きしてしまいました。腎不全は完治しないため、進行を止めるように食事制限を指導され、サプリメントが処方されました。毎日一緒にいるのになぜ体重の減少に気が付かなかったのか、悔やむばかりです。最近、また体重が少し減ったので、輸液の点滴が始めています。治療が長引きそうなのでペット保険の加入先(保険会社)に問い合わせたところ、「治療費は70%まで補償します。請求してください。お大事になさってくださいね。」と言ってくださり涙が出ました。動物病院の医師もお金のことを心配して薦めなかったそうですが、新薬があるとのこと。「保険が使えるなら飲ませてみますか?」と言われ、最善の治療をしてほしいと伝えました。本当に家族なんだと実感しています。

2006年に保険業法が改正され、ペット保険を販売できるのは「保険会社」か「少額短期保険会社」のみとなりました。きちんとしたペット保険を提供する環境が整いつつあります。ペットの保険も、人間の医療保障と同様、保険会社ごとに商品内容や補償内容が異なります。対象となるペットは基本的に犬と猫ですが、鳥やうさぎが加入できる商品もあります。補償内容には大きく、①通院・入院・手術で各々1回いくらまで(年間の給付日数制限など)のように給付毎に限度があるタイプと、②こういった区分を問わず治療費に対して一定率※1を補償するタイプに分けられます。1年更新で解約しない限り継続できます。

家族に元気で長生きして欲しいと願う気持ちは皆一緒でしょう。ペット保険が必要かどうかを決めるのは飼い主のあなたです。貯蓄という選択肢もありますが、私にとっては安心してペットの治療に専念できる安堵感には代えがたいものがあります。


※1契約時に50%補償や70%補償を選択する(年間限度額あり)


田中 美子(たなか よしこ )
AFP ファイナンシャル・プランナー
2級ファイナンシャル・
プランニング技能士
TLC(トータルライフコンサルタント)副称号:生命保険協会認定FP
損害保険上級資格
DCプランナー2級
キャリアコンサルタント

 

 
 
公開日: 2018年02月15日 10:00