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保険業界と異業種とのマッチング
提出したからといって全ての方に割引が適用されるとは限りません。当然ですが告知書は必要ですし、健康診断結果の中身が保険会社の基準をクリアしないといけません。その保険会社で販売中の全ての保険商品に健康診断割引特約を付加できるのではなく、一部の商品でこの特約を付加できるようですが、画期的な特約ですので正直ここまでやるかと驚きました。健康診断の受診率アップと健康に対する意識づけが狙いで、健康維持に貢献していくというコンセプトがあるようです。誰もが保険料は安く保障は手厚い方がいいと思うに決まっています。この特約付きの商品が爆発的に売れ、他社も追随し新商品を発売するようになれば、予防医学の一役を保険会社が担うこともありうる話です。
日本の保険業界は飽和状態で、今後は医療保険や介護保険の支払いが多くなるのは間違いない事実です。しかも新規加入を狙う若い人の人口は一向に増えません。健康診断を受けていて病気の早期発見を心掛けている人の保険料を下げることにより若い健康な世代の顧客を囲い込む狙いがあるのでしょう。健康診断受診率の上昇への貢献は、今後予防医学の観点から早期発見、早期治療で医療費を減らし、健康診断受診者も早期の治療や対策への取り組みにつながるので、悪いことは何もありません。したがって、将来的に保険業界は保険ビジネスを継続的に拡大するためには、異業種例えば医療分野であったり、健診結果や医療などのデータ収集や分析をするIT企業であったり、保険料を徴収するためにクレジットカード会社との提携ビジネスであったり、AIを活用するなど様々なビジネス形態での成長戦略を考えていくことが必須となるでしょう。またマーケットに関しても日本では飽和状態となっているため海外特に人口も多く経済成長している東南アジア向けにビジネス展開をしていく、一部保険会社ではすでに買収などで海外進出をしていますが、保険大国の日本は世界的なビジネス展開を真剣に考えないと日本だけのマーケットでは先細りは目に見えています。
では世界進出で販売する方法として日本で展開してきた営業方法でいいのでしょうか。昔も今も営業職員や代理店の訪問販売が主流ですが、最近では金融機関の窓口や携帯電話会社、自動車販売会社など様々な異業種でも保険を扱っているところがあります。訪問販売の逆で来店販売です。またこれからはインターネットやSNSで育った人たちが顧客の中心となりますが、訪問型や来店型などのように保険募集人との対面販売に応じてくれるだろうか、人を介さない方法での保険加入を選ぶ人が増えるのではないかと懸念されていますが、これは日本でも海外展開でも同じことでしょう。どちらかだけになることは考えられませんが、人を介するならば相談ができる人を求めてくるでしょう。それが保険の募集人なのか、ファイナンシャルプランナーなのか、人口知能であるAIなのか未知ではありますが、相談ができる質の高い人材の育成と確保がとても重要になってくるのではないでしょうか。そのような観点からでも人材育成や派遣業なども提携先として挙げられるかもしれません。
世の中がどんなに変わろうと自分や家族の健康を願う気持ちは変わりません。病気やケガが無くなることはないし、生まれたからにはいつかは亡くなるのは現実です。このような時に経済的な補てんをしてくれる保険はこれからも人生のパートナーであり続けると思いますし、契約や支払いなどで今よりもずっと利便性が高くなっていくと考えますが、加入していてよかったと思ってもらえる存在であってほしいと願います。
田中 美子(たなか よしこ )
AFP ファイナンシャル・プランナー
2級ファイナンシャル・
プランニング技能士
TLC(トータルライフコンサルタント)副称号:生命保険協会認定FP
損害保険上級資格
DCプランナー2級
キャリアコンサルタント