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低金利時代の家計節約術~住宅ローンの借り換え
1.どのくらいの効果があるのか?
今回は5年前に組んだ当初借入(A)を、現在の金利水準のフラット35(B)に借り換えるケースで、具体的な効果を検証してみます。
A.当初借入
借入額2,000万円、返済期間35年、融資金利2.03 %、元利均等返済
毎月返済額68,847円、5年後のローン残高 1,793万円
B.借り換え後のローン
借入額1,793万円、返済期間30年、融資金利1.16 %、元利均等返済
毎月返済額58,747円
「借り換え前」と「借り換え後」の毎月返済額と、総利息額は以下のとおりです。
毎月返済額 総利息額
借り換え前 68,847円 603万円
借り換え後 58,747円 322万円
ご覧の通り、借り換えによって毎月返済額は10,100円少なくなり、総利息額も281万円少なくなります。借り換え時には50~60万円程度 の諸費用がかかりますが、諸費用分を差し引いても十分に効果のでることがわかります。現在の預貯金や貯蓄性保険の利回りの低さを考慮すると、資産運用よりむしろ住宅ローンの借り換えを優先したいところです。なお、主な諸費用は融資手数料や登記費用などですが、これらは借入額に上乗せできる金融機関が多いので、手元資金が少なくても借り換えは可能です。
2. 効果を高めるテクニック
さらに、ちょっとした工夫で利息軽減効果を高めることができます。
(1) 返済期間を短縮する
返済期間を短縮して借り換えすると、支払うべき利息の総額はさらに少なくなります。例えば、先述のケースで借り換え後のローン(B)を返済期間を25年に短縮すると毎月返済額は68,880円となります。月返済額は、借り換え前とほぼ同額である一方、総利息額は273万円となり、利息軽減効果は330万円まで拡大します。現在の月返済額を負担に感じていないのであれば、返済期間の短縮は積極的に検討したいところです。
(2) 返済方法を変更する
住宅ローンの返済方法には、毎月の返済額が一定の①元利均等返済と、毎月の返済額が逓減していく②元金均等返済があります。現在、ほとんどの方が①元利均等返済を採用していますが、②元金均等返済のほうが総利息額は少なくなります。ただし、当初の返済額は②元利均等返済の方が多くなりますので、「当初の返済額が多少増えても問題ない」という方は検討されるとよいでしょう。
3. 借り換え時の注意点
ただし、借り換えにも注意点があります。それは「団体生命保険は再加入しなければならない」ということです。団体信用生命保険はそのまま継続できませんので、住宅ローンの借り換えにともなっていったん解約し、新規に申し込みをする形になります。つまり、健康状態等の理由により、団体信用生命保険に新規加入できず、ローンの借り入れもできないケースもあるのです。また、借り換えには融資手数料等の諸費用が発生します。借り換えによる利息削減効果が諸費用を下回る場合はメリットがありませんので、諸費用等も含めた検討が大切です。ます。なお、フラット35の金利および融資手数料は金融機関によって異なるので、借り換え先の金融機関を決める際にも、諸費用も含めた総返済額で比較するようにしてください。
中山 浩明(なかやま ひろあき)
CFP®ファイナンシャル・プランナー
生活経済研究所長野 研究員