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ドライブレコーダーの威力(過失割合)

前回自動車事故に遭遇したお話をしましたが、事故日から1カ月と約10日経過した現在、まだ過失割合は決まっていません。
その過失割合とは、交通事故発生原因について、どちらの当時者にどれだけの責任があるかという責任の割合のことです。交通事故で被害にあった場合、相手に対して損害賠償請求をしますが、このときに重要なのが過失割合です。

交通事故が起こった場合、一方が100%悪いということはほとんどなく、双方に過失が認められます。通常双方が動いているからでしょう。しかし、信号待ちなどで後ろから追突された場合は、追突した方が100%悪いことになります。
では、交通事故の「過失割合」を決めているのは誰かというと、保険会社です。警察には民事不介入という原則があるので、過失割合は決めません。過失割合は、交通事故の状況を記した交通事故証明書などを元に、過去の交通事故判例(過去の裁判の記録)に照らし合わせて、保険会社が決めているのです。また現在裁判などで広く利用されているのが、判例タイムズ社が発行している「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」というもので判例を確認できます。

(1)「信号のある交差点での事故」
(2)「直進中の車同士の事故」
(3)「三叉路での事故」
など、ケースによって分類されています。

これには自動車と自動車の事故、自動車と二輪車の事故、自動車と歩行者の事故など事故の当事者ごとに分けられ、そして事故の状況に応じてそれぞれの当事者の過失割合の基準が書かれています。
 
今回私の自動車事故の場合、上記判例による過失割合の基準は、信号機が設置されていない交差点で、私は優先道路、相手は一時停止、同じ速度で私が20%過失、相手が80%過失、これが基準だと説明されました。その後、過失割合の修正要素が入ります。著しい過失があった場合には、過失があった方の割合が10%から20%上がる仕組みです。
前回もご説明したように、「考え事をしていたので減速もせず、一時停止もしていません」と本人供述。更にドライブレコーダーに移っている映像で法令違反である助手席にサンシェード。この事を運転者に確認したら、「事故後に法令違反だと知りました。」と回答してきました。ここまでくると、使用者責任も発生するのではないかと思います。企業として営業車を従業員に運転させる場合の注意や安全運転教育の責任も問われるはずだからです。

示談交渉は、各々の加入している保険会社が話し合い示談交渉してくれるので、事故の当人は何もしなくてよいのですが、今回のケースの場合、基本割合での示談では納得しませんし、ドライブレコーダーの映像が証拠としてあります。実際にドライブレコーダーの映像を見た自動車ディーラーさんが「相手は減速せず一時停止もせず交差点に突っ込んできているのは綺麗に映っていますよ。」とのコメント。相手保険会社にはこちらの保険会社からそのデータは証拠として提出、更にサンシェードを付けている個所を映像から写真にして送っています。事故をして被害者になって初めてわかったことが多々あります。

今回ドライブレコーダーが強力な威力を発し、自動車事故の早期解決を担う有力な証拠となりうるものだと確信しています。保険会社はここ数年自動車の性能がよくなり自動車事故が減ったため保険料引き下げに踏み切りました。私は常々保険は入り口も大事ですが、出口がもっと大事だと考えています。今後も相手の保険会社の動向を凝視し皆様に情報提供していきたいと思っています。
田中 美子(たなか よしこ )
AFP ファイナンシャル・プランナー
2級ファイナンシャル・
プランニング技能士
TLC(トータルライフコンサルタント)副称号:生命保険協会認定FP
損害保険上級資格
DCプランナー2級
キャリアコンサルタント
公開日: 2018年10月04日 10:00